カウンセリングがとらえる、こころの不思議

カウンセリングがとらえる、こころの不思議

こころが変容する場の提供

誰でもこころに何らかの困りごとを抱えることがありますが、多くの場合は家族や友人、仲間といった人間関係の中で昇華されていきます。しかし、日常的な関係の中では解決できない場合もあります。
カウンセリングは、そうした困難を抱える人が変容するための場を提供します。カウンセラーは、対話を通して、その人が自分のこころと出会うことをサポートします。子どもの場合には、遊びを通した自己表現の場としてプレイセラピーが有効です。

困りごとは未知の可能性への登竜門

こころには、成長しよう・変わろうとする自律的な性質があります。悩みや症状などの困りごとは、実は大事な変化の表れであることも多いのです。
例えば、友だちを噛む子どもがカウンセリングに来たとします。保護者から生育歴を聞いたり、その子と丁寧に関わることで、「噛む」という問題行動が、実は「友だちと関わりたい」という気持ちの表れであることがわかるかもしれません。または、ストレス状況下にあって、その子なりの無意識のSOSということがわかるかもしれません。
このようにカウンセラーは困りごとを「こころの表現」ととらえます。そして困りごとを単に取り除こうとするのではなく、その意味や変化可能性を考えるところからカウンセリングは始まります。

こころのメカニズムに触れる面白さ

こころの仕組みや働きはまだ解明されていないことが多く、こころのあり様は時代によっても変化します。精神病や人格障害など、さまざまな精神障害は「自我」の形成過程に関連していると考えられますが、近年、注目されている発達障害は、「自我」よりもさらに原初的な「自己感」に問題を抱えていることが指摘されています。発達障害の人のカウンセリングを通して、そのこころについて研究することは、人間全般の「自己感」の形成過程についても大きな示唆を与えてくれます。このように今を生きるクライエント(支援対象者)の困りごとについて考えることは、こころの新たなメカニズムを見いだすことにもつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

専修大学 人間科学部 心理学科 准教授 藤巻 るり 先生

専修大学人間科学部 心理学科 准教授藤巻 るり 先生

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臨床心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

もしもカウンセラーになりたいと思っているならば、心理学はもちろんですが、その他にも興味があることは何でも学び、体験してください。カウンセラーになるのに、邪魔になる知識や経験はありません。何でも糧になります。他の仕事や子育てを経験した上でカウンセラーになる人もいるくらいです。大学生活を通して他の学問や進路に興味が出てきたとしたら、そちらの道に進んでもいいと思います。幅広いことに興味をもち、学び、それでもカウンセラーの道に進みたいと思ったならば、その時には大学院で専門的な訓練を受けることになります。

専修大学に関心を持ったあなたは

専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2024年に創立145年を迎えた、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。