カウンセリングがとらえる、こころの不思議

こころが変容する場の提供
誰でもこころに何らかの困りごとを抱えることがありますが、多くの場合は家族や友人、仲間といった人間関係の中で昇華されていきます。しかし、日常的な関係の中では解決できない場合もあります。
カウンセリングは、そうした困難を抱える人が変容するための場を提供します。カウンセラーは、対話を通して、その人が自分のこころと出会うことをサポートします。子どもの場合には、遊びを通した自己表現の場としてプレイセラピーが有効です。
困りごとは未知の可能性への登竜門
こころには、成長しよう・変わろうとする自律的な性質があります。悩みや症状などの困りごとは、実は大事な変化の表れであることも多いのです。
例えば、友だちを噛む子どもがカウンセリングに来たとします。保護者から生育歴を聞いたり、その子と丁寧に関わることで、「噛む」という問題行動が、実は「友だちと関わりたい」という気持ちの表れであることがわかるかもしれません。または、ストレス状況下にあって、その子なりの無意識のSOSということがわかるかもしれません。
このようにカウンセラーは困りごとを「こころの表現」ととらえます。そして困りごとを単に取り除こうとするのではなく、その意味や変化可能性を考えるところからカウンセリングは始まります。
こころのメカニズムに触れる面白さ
こころの仕組みや働きはまだ解明されていないことが多く、こころのあり様は時代によっても変化します。精神病や人格障害など、さまざまな精神障害は「自我」の形成過程に関連していると考えられますが、近年、注目されている発達障害は、「自我」よりもさらに原初的な「自己感」に問題を抱えていることが指摘されています。発達障害の人のカウンセリングを通して、そのこころについて研究することは、人間全般の「自己感」の形成過程についても大きな示唆を与えてくれます。このように今を生きるクライエント(支援対象者)の困りごとについて考えることは、こころの新たなメカニズムを見いだすことにもつながるのです。
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