「加工」と「計測」が世界を支える! 精密生産技術の魅力

設計と製品をつなぐ技術
世の中に存在する製品の多くは、設計図を元に作られます。その設計図通りの形にするには、高度な技術が求められます。例えば車の部品を成形する金型(部品を作るための型)では、わずか数ミクロンの誤差でも製品の性能に影響します。そのため、その精度を担保する検査技術も必要になります。このように、正確にものをつくる技術と、その品質を保証するための計測技術が「生産技術」です。生産技術はものづくりを支える「裏方」のような存在ですが、なくてはならないとても重要な技術です。日本の製造業が世界で高く評価されているのも、この生産技術が非常に高いレベルにあるからです。
加工と計測はセットで必要
生産技術は、「加工技術」と「計測技術」の2つから成ります。ミクロンレベルの高精度加工を実現するには、高性能な工作機械を使っても、一度で目標精度に達するのは困難です。そのため、加工後に形状を測定し、誤差があれば再加工を行う工程を繰り返します。この工程を通じて精度が確保されます。つまり、計測の精度が工作物の精度を左右します。また、高精度加工を実現するには、金属の熱膨張や収縮といった温度変化の影響も無視できません。こうした環境を考慮し、加工条件を調整する技術も求められます。加工と計測は連動しており、どちらか一方だけでは高品質な製品は実現できません。両者の技術が製造の鍵を握っています。
新機能を生み出す加工技術
生産技術は、単に形を作るだけでなく、製品に新たな機能を付加する役割も果たします。例えば、パソコンのCPUは高速化に伴って発熱量が増加しますが、冷却用の部品に微細な凹凸を施すことで、冷却特性を高めることができます。また、車のエンジンピストン表面に微細な凹凸を施すと、潤滑性が向上し、燃費性能の改善にもつながります。テレビのディスプレイ表面に微細なレンズ形状を多数形成することで、立体映像を表示する技術も開発されています。このように、生産技術は新たな製品や機能を生み出すうえで重要な役割を担っています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

長崎大学工学部 機械工学コース 助教大坪 樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
加工学、生産工学、計測学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?