差し迫る「食料品アクセス問題」の解決に、マーケティングで挑む
日々の食料品の購入が困難に
近年、地元の商店街の衰退や顧客の健康上の理由などから、高齢者を中心に食料品の購入が困難な人が増えるという「食料品アクセス問題」が社会的な課題となっています。この課題は過疎地域に限らず、都市部のニュータウンや団地でも生じています。
大規模なニュータウンや団地の居住者は多くの場合、入居当時は働き盛りの若い世代が中心でしたが、現在は一斉に高齢化を迎えています。その結果、大規模なニュータウンや団地においても食料品アクセス困難人口が増加しています。
課題解決こそビジネスチャンス
このような課題にもビジネスチャンスはあります。例えば、ネットスーパーや移動スーパー、宅配サービス、買物代行タクシーなどの「買物支援サービス」です。また、最近ではWebアプリから商品の注文を行うと空中配送ロボットがロープウエーのようにワイヤを移動して専用の受け取りボックスまで商品を配送するサービスの実証実験も進んでいます。
このサービスが社会実装されれば「食料品アクセス問題」だけでなく、「配送ドライバー不足の問題」や「自動車を保有しない若い世代の生活」に対しても大きな効果が期待できます。一見、悲観的にとらえられがちな課題においても社会を大きく変えるきっかけとなるような、新しいビジネスチャンスが存在するのです。
社会問題の解決にもマーケティングの手法を
さまざまな「買物支援サービス」の内容を検討する場合、サービスを作る側だけではなく、サービスを利用する側の視点も重要です。ここで重要になるのがマーケティングです。マーケティングとは簡単に述べると、「自ずと買いたくなる仕組みを作り上げること」です。マーケティングと聞くと広告や市場調査などをイメージする人も多くいますが、高齢者対策や街づくりなどにも活用できます。
マーケティングの知識を使って社会問題に取り組むことで「この街に住んでいて良かった」と思えるような満足度の高い生活環境をもたらすこともできるのです。
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専修大学 経営学部 経営学科 教授 佐藤 康一郎 先生
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