地方創生の成功要因を解き明かし、日本の未来へつなぐ

地方創生の成功要因を解き明かし、日本の未来へつなぐ

地方創生の成功例を検証

今、日本は人口が減少しており、特に地方の高齢化や過疎化が深刻となっています。国は、2014年から地方創生を掲げて課題解決に取り組んでいます。各地の自治体が試行錯誤する中で、移住者が増えて活性化に成功している地域もあります。その成功要因が明らかになれば、各地で活用できるようになるでしょう。
ある市では、特産物や観光地の体験やメディア戦略などの方法を使うことで、話題性を高め、地域をブランド化することに成功しました。人気観光地となり、移住者が増えていったのです。ほかに、大学との連携、起業家の支援などで有名になり、活性化に成功した地域もあります。

持続する仕組みが大事

地方創生では、大規模な住宅地開発や工場誘致など、ほかの地域から人口を奪うケースもあります。しかしそれだけだと、近隣都市部に勤務するだけで、地域が好きでもなく、転出する可能性も高くなります。地域が持続するには、地域に根ざす人を一定数増やして、地域経済を循環させることが大切です。人と地域に着目して、持続可能な方法を考える「プレイス・ブランディング」が注目されています。
成功要因の一つとして、地域住民に移住者を受け入れる寛容性があり、移住者は好きなことで起業するなど、地域経済に関わっていることが挙げられます。地域おこし協力隊のように、移住者のやりたいことをサポートしている地域もあります。

モデル化して全国へ

移住起業者は、多くの人が移住前に観光でその地を訪れています。観光で訪れる理由をリサーチして分析した上で観光を促進することが、成功への土台の一つです。さらに地域の経済的構造などを加味して、発展した経緯を明らかにします。地域経済に関わるのは観光のほか、農林水産、教育、スポーツなどさまざまなものがあります。地域の特性や資源を生かして地域をブランディングし、その地域らしく活性化できるモデルがあれば、どの地域でも地方創生に向けてトライできます。日本全体を元気にすることは可能なのです。

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福岡大学 経済学部 産業経済学科 准教授 岡 祐輔 先生

福岡大学経済学部 産業経済学科 准教授岡 祐輔 先生

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経済地理学

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メッセージ

まず、好きなことを見つけてください。それが学問にも人生にも影響を与えます。好きなことが社会にどう役立つか考えるクセをつけると、勉強の意義を見いだせるようになります。私が専門とする経済地理学は、経済と地理の両方の観点からアプローチする学問で、地域と農業、スポーツ、交通、観光、環境など、なんでも検証対象となる面白さがあります。そんな私は今も、数学(統計学)、国語(論文)、社会と関わっています。社会に関心をもっての学びが、自分が住む地域で生かされることを願っています。

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福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から90周年で輩出した卒業生総数は28万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。