講義No.09190 医療技術

「見える!」をかなえる仕事、視能訓練士とは?

「見える!」をかなえる仕事、視能訓練士とは?

弱視や斜視の子どもたちをサポート

人間は、生まれた直後にはほとんど視力がありません。成長するにつれて、物体の形や色の区別、動きの追跡などができるようになり、8歳くらいで大人とほぼ同じ視力を持てるようになります。しかし、子どもによっては、眼球自体には何の問題もないのに「見る」経験そのものが足りないために視力が出ない「弱視」の症状や、片方の眼がもう片方の眼と違う方向を向いてしまう「斜視」の症状を抱えている場合があります。そうした子どもたちをサポートするのが、視能訓練士の役割です。

問題を発見し、訓練計画を立てる

視能訓練士は、眼科で患者さんの眼の検査や訓練などを担う「眼のスペシャリスト」の国家資格です。的確な検査を行うことで弱視や斜視の子どもを発見し、一人ひとりに最も適した、視覚を向上させるための訓練計画を立てます。訓練計画は、これまでに蓄積されてきた膨大な量の症例と訓練のデータを基に、慎重な検討を経て組み上げられます。
また、大人の場合、緑内障などの病気やけがなどが原因で視力が落ちたり、視野が狭くなったりすることがあります。そうした人ができるだけ日常生活を支障なく送れるようにサポートする「ロービジョンケア」も、視能訓練士が担う大切な役割です。具体的には、視力の低下を補うためのルーペや眼鏡、視覚障がいによって光をまぶしく感じる人のために遮光眼鏡などの処方を行います。

眼のトラブルを未然に防ぐには

子どもの視覚障がいは、早く発見すればするほど効果的な治療と訓練を行うことができます。一方、大人は、視覚に多少の問題が出ても、脳やもう片方の眼で、ある程度補うことができてしまうため、自覚症状がないまま視力が落ちたりしてしまいます。そしてようやく自覚した頃には重症だった、という状況に陥りがちです。したがって、大人も子どもも、健康診断などの際に専門的な検査を定期的に受診しておくことが、眼のトラブルを未然に防ぐことにつながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 医療技術学部 視能矯正学科 助教 佐々木 翔 先生

帝京大学 医療技術学部 視能矯正学科 助教 佐々木 翔 先生

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視能矯正学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは、視能訓練士という職業を知っていますか? 人間は、外から得られる情報の80%以上を、視覚、つまり眼で見ることに頼っていると言われています。視能訓練士は、患者さんの眼の検査や訓練を行うことでその人の視覚を守る、いわば「眼のスペシャリスト」です。
帝京大学の視能矯正学科は、視能訓練士を育成するための学びの場としては、日本最大の規模です。あなたも多くの仲間たちとともに、眼について、深く学んでみませんか?

先生への質問

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帝京大学に関心を持ったあなたは

医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。医学部・薬学部・医療技術学部を擁する板橋キャンパスの最大の特長は、医学部附属病院が隣接している点。学生は救命救急センターやERなど最先端の医療を、実習を通し体感できる場ともなっています。都心へのアクセスも良好であり、キャンパス最寄りの十条駅から池袋駅へ7分程度で行けますので、ショッピングなども気軽に楽しめます。