移民受け入れが、日本の人口減少の解決策
出生率低下の理由
日本で1人の女性が生涯に生む子どもの数「合計特殊出生率(以下、出生率)」は、2019年に1.36となりました。1970年は2.13だったので、出生率は低下しています。出生率2で人口が維持されるので、少子化が進むかぎり、日本の人口は減少していくことになります。
出生率が低下する要因のひとつに、人々が豊かになり、趣味や娯楽などの楽しみが増えたことが指摘されています。これは、地方よりも楽しめる場所や機会が多い東京の出生率が低いことから明らかです。楽しみの選択肢が多いため、子どもをもうけることの優先順位が低くなったと考えられます。
少子化、人口減少のデメリット
少子化が進行すると、高齢者を支える若い人が減り、若者世代の年金の支払額が増加します。人口が減少すると市場も縮小するため、海外の高級ブランドやレストランなども、日本から撤退してしまうかもしれません。個人所得が上昇すれば、経済面でのマイナスを抑えることができますが、経済成長は人口増加に比例すると言われています。つまり、人口が減少すると所得も減る可能性があるのです。先進国は全般に出生率が低下する傾向がありますが、これを上げることは簡単ではありません。
移民受け入れで労働生産性が上昇
人口減少を食い止めるための方法のひとつが、移民の受け入れです。安い労働力が流入して仕事を奪われるのではないかと懸念されることもありますが、移民は経済にプラスに作用するという研究があります。移民によって文化的な多様性が増して、労働生産性が上昇するからです。これは、硬直した労働環境に移民が刺激を与えるからではないかと考えられています。また、優秀な移民が新しい仕事をつくることで、雇用が増え所得が上昇することもわかっています。治安の問題など、考慮するべき点も多くありますが、人口減少のデメリットと合わせて、移民が日本にやってきやすい環境をつくっていくことも必要となってくるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
大阪大学 経済学部 経済・経営学科 教授 山本 和博 先生
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