ユニクロ、H&M、ZARA ファストファッションの戦略を考える
日本のファッション業界とファストファッション
いまや多くの日本人が、ユニクロ、H&M、ZARA、GAPなど、いわゆるファストファッションを利用しています。でも、ファストファッションが目立ってきたのは2000年代です。それまでの日本のファッション業界は、アパレルメーカーの商品を百貨店で販売する形態が一般的でした。衣類の小売りの多くを百貨店での販売に依存していました。日本のアパレルメーカーは品質の高い「ものづくり」に定評があったのですが、商品企画、生地調達や縫製から小売りまでのサプライチェーンが多段階の構造から構成され、商品の価格が高くなる傾向にありました。また、企画から販売まで時間がかかるため、流行が反映されにくいという弱点もありました。
「SPAシステム」に基づくビジネス
一方、流行を取り入れつつ低価格な商品を大量に生産して、短いサイクルで販売するファストファッションは、「SPA(製造小売業)システム」に支えられて成長しました。SPAシステムとは、商品の企画・製造・小売りを、一企業が一貫して行うことです。卸業者が入らないので、価格を抑えることができます。また、商品開発から販売までを短期間で行うことができるので、流行をいち早く取り入れて商品化できることもメリットです。さらに各メーカーがそれぞれ独自の戦略を展開し、ファストファッションは多様な形態で発展してきました。
ファストファッションの価値を考える
繁栄するファストファッションですが、大量生産・大量消費というあり方が、ファッション業界として価値のあることなのかどうかという問いも生まれています。コスト削減のために、生産拠点を東南アジアに置くことも多く、品質を重視した日本の「ものづくり」の価値から見た場合の不十分さも、無視できません。
ファッション業界全体の発展という観点から、ファストファッションの未来を展望する必要があり、経営学の興味深い課題と言えます。
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先生情報 / 大学情報
明治大学 商学部 准教授 西 剛広 先生
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