ダイナミック・プライシングの活用と有効性
買うか買わないか、人は何に左右される?
スーパーやコンビニなどで、商品の価格を見て「ちょっと高いな」とか、「こっちは安い」と感じることがよくあるでしょう。それでも「高いけど、この程度なら納得だ。買おう」という人もいれば、「いや、高すぎる。やっぱり買わない」という人もいて、おのおのが自分の価値観で判断します。その人のもともとの考え方やその時の事情にもよりますが、モノの価格は人の行動を左右する大きな動機の一つです。
ダイナミック・プライシングとは
そもそもモノの価格は、時代や社会の事情によって変わるものです。それ以外にも、価格を意図的に調整することがあります。例えば飛行機やホテルの料金は、人が動く週末や夏休みなどの時期と平日とでは違います。これは、人が動く時期とそうでない時期、つまり繁忙期と閑散期という状況に応じて調整しているのです。このように商品やサービスの価格を、需要と供給に応じて柔軟に調整することを「ダイナミック・プライシング(変動価格制)」と言います。これは1970年に米国で始まったと言われていますが、経営において収益を最大化するために、企業はここ10年ほどAIを導入して最適な価格設定を行っています。最近は、プロスポーツの試合のチケットの価格設定にもよく使われています。その日の天候や、週末か平日開催か、ホームでの開催かそれ以外など、さまざまな条件から客の入り具合をAIで予測して、価格を決めているのです。
消費者も企業も納得の価格を追求
経営戦略に大切なダイナミック・プライシングですが、消費者の納得感を得ることはもっと大切です。今オンラインショップでは、買う時期によって全く同じ日用品を異なる価格で販売しています。その値幅が大きくなれば、高い時期に買った消費者は不公平感を持つでしょう。それが顧客離れやネガティブな口コミとなって広まれば、企業やオンラインショップには打撃です。企業は、顧客の不満をいかに最小限に抑えつつ収益を上げるかに取り組んでいるのです。
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