外国人との交流だけではない 異文化コミュニケーションの射程と魅力
異文化コミュニケーションの多様性
「異文化コミュニケーション」と聞いてどのようなイメージをもつでしょうか。日本では圧倒的に「外国人」、「英語」と結びついたコミュニケーションを想像する方が多いようです。ですが、学問としての異文化コミュニケーションはもっと多様で懐の深い領域なのです。もし「文化=国籍」ならば、「異国籍コミュニケーション」という名称の方が曖昧さはありません。そうでないのは「文化」ということばが国籍や民族以上のものを含んでいるからです。例えばジェンダー、世代、健康といったものと、わたしたちのコミュニケーションに一定のパターンを見出すこともでき、異文化コミュニケーションとして扱うことができます。
病気を抱える人のコミュニケーション
一例として、がんという病気に関わるコミュニケーションがあります。がんを経験した人からよく聞くことばに「経験した人にしかわからない」というものがあります。病気を抱える人は四六時中「患者」であるわけではなく、具体的なコミュニケーションの場面で、病気についてさまざまにそのやり方を変化させています。上記の発言もその一つです。それはどのような場面で、どのように、それはなぜか。ここに異文化コミュニケーションの視点が関わってきます。
病気をめぐる社会関係を丁寧に紐解く
わたしたちは「わからない」相手に対してさまざまな反応をとります。例えば、「あの人たち」とわたし(たち)のように線引きし、相手を否定的に評価して納得するということもあるかもしれません。ですが、本当にそのような区別はいつでもあなたとその相手との間にある、動かしようのない「違い」なのでしょうか。わたしたちが時にあたりまえのようにコミュニケーションとして行っていること、それが他者との関係性をどのように形づくっているのか、それを丁寧に読み解くことで、わたしたちが切り結んでいる社会関係を理解することができます。そこから、どのように人びとが共有している病気の社会的イメージがつくられていくのかが研究されています。
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順天堂大学 国際教養学部 国際教養学科 講師 岡部 大祐 先生
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