インディアンの視点からアメリカの「今」と「歴史」をひもとく

インディアンの視点からアメリカの「今」と「歴史」をひもとく

アメリカ人口の約2.9%がインディアン

インディアン(ネイティヴ・アメリカン)と聞くと、アメリカの歴史において迫害され犠牲となった先住民族というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、2020年に実施されたアメリカの国勢調査では900万人以上の人が「私はインディアンである」と答えています。インディアンといってもさまざまで、1つにまとめて語ることはできません。現在アメリカ政府が承認を与えている部族は574あり、その人たちには部族それぞれに自治を行うことが認められています。

インディアンの視点から見る歴史

インディアンは部族ごとに言語も文化も異なります。200年以上にわたって受けた迫害の中で、その言語や文化の多くが失われました。しかし、文字を持たない彼らは口伝えで自分たちのアイデンティティや歴史を後世に伝えるという力強さも持っています。
インディアンは、後にアメリカとなる地の至るところに住んでいました。広大な土地を入手したいアメリカ政府は、先祖代々の土地を大切にして離れようとしないインディアンを移動させるために荒々しい手段を使います。抵抗するインディアンたちを1830年代には力づくで現在のオクラホマ州に強制移住させています。多くの犠牲者が出たことから「涙の旅路」といわれています。

アメリカの歴史から今のアメリカを知る

最後まで抵抗した部族の1つがチェロキー族でした。アメリカ人になることを強いる「同化政策」により英語を習得していた彼らは、自分たちの母語であるチェロキー語を文字化することに成功すると、チェロキー語と英語の二か国語で新聞を作って自らの意見を発信したり、英語を使ってアメリカ政府と交渉したり裁判を起こしたりと抵抗を試みます。彼らのこうした動きが、インディアンの歴史を今に伝えてくれています。
アメリカは国家誕生からわずか200年あまりですが、多くのマイノリティがいて、あらゆる人々が立ち回る激動の歴史があります。マイノリティから見るアメリカ史を知ることで、真のアメリカの姿が見えてきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 文化社会学部 ヨーロッパ・アメリカ学科 准教授 石井 泉美 先生

東海大学 文化社会学部 ヨーロッパ・アメリカ学科 准教授 石井 泉美 先生

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アメリカ史学、アメリカ地域研究

メッセージ

歴史は「物語」です。単に出来事が並んでいるのではなく、人々の思いや行動、予想外の展開を通じて、その時代、時代の息吹を感じることができます。なかでもアメリカ史は短い中にさまざまな物語が凝縮されているおもしろさがあります。大学に入ると学びの視野が広がります。私自身、英語の教員になりたいと考え語学を学ぶうちに、アメリカの歴史や文化に興味を持つようになりました。いろいろなことに興味や関心を持っておくと、自分が本当にやりたいことをキャッチできます。

先生への質問

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