経済や文化だけでなく、「病気」もグローバル化?

経済や文化だけでなく、「病気」もグローバル化?

世界規模で広まる感染症の脅威

エイズ、結核、マラリアは三大感染症と呼ばれ、毎年300万人以上の命を奪っています。その患者のほとんどはアフリカと東南アジア、南米です。感染症は気候や生活環境と関係があり、マラリアは熱帯から亜熱帯、結核は日本のような高温多湿の地域で広まる傾向があります。しかし近年、地球温暖化の影響もあり、感染症もグローバルな時代となりました。マラリアの媒介となる蚊の生態からすると日本に広まる可能性は低いのですが、ヨーロッパで感染者が確認されたことを踏まえると、まったくないとは言い切れなくなったのが現状です。

免疫を生かし新薬開発

治療薬に耐性を持つ病原体が増えているのも、感染症が広まる一因です。日々、治療薬の改良や新薬開発が重ねられていますが、化学合成で作られる薬の多くには副作用があります。そもそも人間には好中球やリンパ球など、病原体を排除する免疫細胞が備わっています。これらの働きが活発だと、病気の発症や悪化を抑えることができるのです。実際、世界の人口の約3分の1以上が結核に罹患(りかん)しているのですが、免疫細胞が防ぐことで発症せずに済んでいます。そこでいわゆる免疫力を高めるといった取り組みが大事で、また免疫を生かした薬作りも研究されるようになっています。

一人ひとりが感染拡大を食い止める

一方、情報の収集や正しい教育を行うことも感染症予防に効果的です。しかし日本はその点に関してやや脇が甘く、例えば世界的に見れば新たなHIV感染者数は減少しているにもかかわらず、日本では20%も増加しています。しかもその80%以上は20代の若者なのですから、十分なエイズ教育が行われているとは言えません。結核に関しても日本の罹患率は欧米諸国と比較するとまだトップクラスで、過度のダイエットなどにより免疫力を低下させ、発症させてしまうケースが後を絶ちません。感染症がグローバル化していく中、一人ひとりが正しい知識を持ち、予防と対策を行うことが必要なのです。

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先生情報 / 大学情報

順天堂大学 国際教養学部 国際教養学科 教授 ニヨンサバ フランソワ 先生

順天堂大学 国際教養学部 国際教養学科 教授 ニヨンサバ フランソワ 先生

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医歯薬学、内科系臨床学、皮膚科学

メッセージ

街を歩いていると、外国からの観光客を目にする機会が増えたと感じているでしょう。さらに政府は2020年の東京オリンピックまでに年間4000万人の観光客を呼び込む目標を立てています。また医療のグローバル化により、外国からの患者も増えています。そうした中、もはや求められるのは単なる語学力ではなく、国際社会に通じる教養を併せ持つことです。特に健康はあらゆる国の人が抱く共通の問題であり、医療と語学のスキルを併せ持つ人のニーズは高いといえます。

先生への質問

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順天堂大学国際教養学部は、人を強く思う気持ち「仁」の精神を生かし、社会課題、異文化コミュニケーション、そして健康をテーマに、世界に目を向けたグローバルな視点で問題を解決できる真のグローバル市民を育成します。
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