社員に寄り添い、組織の健康推進を図る「産業看護職」

多くの人の健康に関わる
看護職(看護師・保健師)には、企業で働く「産業看護職」もいます。社員数千人の会社であれば、その人たち全員の健康に関わる仕事です。活動は大きく分けて、社員個人の健康ケアと、会社全体の健康促進があります。時には試行錯誤しながらも、効果的な健康の改善や促進に向けて取り組んでいます。
社員個人の健康は、本人の体調や人生はもちろん、仕事の生産性や安全面にも関わります。また、社員のヘルスリテラシーを高めることで、その人が属する部署や家族にも影響を与えます。幅広い人々の健康にアプローチできるのです。
個人の日常生活をケア
社員個人には、健康診断やストレスチェックなどを通じて心と体の健康をケアします。何らかの症状や課題がある人には、面談でサポートします。ストレス度合いが高い人は、業務の負担軽減を部署に働きかけるなど、働きやすい職場環境づくりにも関わります。
職場という、多くの人が多くの時間を過ごす環境だけに、個人の日常生活において健康に介入できるのが最大の利点です。ある企業に、通院しても改善がみられない糖尿病の社員がいました。このまま悪化すると勤務中に意識を失い、事故を起こす恐れがあります。何度も面会を重ねて生活習慣の改善ができるようになり、状態がよくなりました。
多職種連携で会社全体の健康を
会社全体の健康促進では、社員食堂で健康的なメニューを提案する、健康意識を向上するために部署対抗で歩数を競うゲームをする、クイズで健康知識を提供するといった活動があります。近年では、スマートウォッチといったウエアラブルデバイスを社員に提供して、睡眠時間や心拍数などの可視化を実施する企業もあります。必要に応じて意識調査を行い、社員の健康のために何が可能か考えて行動するのです。
これらを実現するには、産業医や産業看護職、企業のトップや関連部署、健康保険組合など、多くの関係者との連携が不可欠です。このように、産業看護職は多くの人々の日常に関わりながら健康に貢献しています。
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