VUCA時代にこそ際立つ「日本のものづくり」の底力
競争に勝つための戦略の基本とは
1990年代以降、インターネットの普及によって国境のないグローバル競争時代に突入しました。そして私たちは今、VUCA【ブーカ:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)】と呼ばれる変化の激しい不安定な社会情勢に直面しています。例えば、新型コロナウィルスによる先の読めない世界情勢はまさにその典型と言えるでしょう。
このような不確実性高まる競争環境下で企業が長期的に競争力を発揮、維持していくためには、企業の強みである自社のコア技術や戦略的経営手法を用いて差別化を図ることが不可欠です。しかし、差別化を実現するには、顧客(市場)が思いもよらなかった潜在的なニーズを掘り起こすことや、自社が有する技術力や組織力といったドライバ(強みの源泉)にどれだけ「固有性」が宿っているかが決定的に重要になるのです。
日本のものづくりは時代遅れ?
近年、GAFAM(ガーファム:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)と呼ばれるアメリカの巨大企業の売上や利益率の高さに注目が集まっています。これとは対照的に、日本のものづくりの代名詞でもある「匠の技」といった日本固有の強みに対し国内では、「時代遅れ」あるいは「衰退産業」といった論調が目立つようになっています。しかしこれは本当でしょうか?
固有の強みを活かす
例えば、グーグルのセルフ・ドライビングカーやウーバーなどのライド・シェアリングこそ21世紀型産業だと言わんばかりの報道が目につきますが、人命にかかわるこうしたシビアなビジネスモデルを支える信頼性の高い自動車は一体誰がつくっているのでしょうか?
ものづくりが得意な国、ビジネスモデルづくりが得意な国などのように、企業、個人においてもそれぞれ他とは異なる強みを持っています。このように、「固有の強み」に立脚した戦略策定と実行にこそ競争を勝ち抜くための本質が宿っているのです。
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公立鳥取環境大学 経営学部 経営学科 教授 光山 博敏 先生
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