経済学の観点から「環境問題」を観察すると、新たな判断基準が見える
多くの企業が環境問題に取り組むのはなぜ?
ハイブリッドカーや省エネ家電など、近年、さまざまなジャンルの「環境配慮型製品」が登場しています。また企業の工場などでも「環境配慮型生産工程」が導入されています。こうした取り組みは、誰かに命令されたのではなく、企業が自主的に行っています。なぜ多くの企業が、自発的に環境への取り組みを実施しているのでしょうか。
環境に配慮することで「資金の獲得」も有利に
環境配慮のメリットに注目すると、環境への取り組みは、企業に、イメージの改善、技術革新の機会、また、ガソリン代や電気代が節約できる商品であれば、消費者からの支持などをもたらす可能性があります。
さらに、資金の獲得においても環境配慮が企業にとってメリットとなる状況も存在します。例えば、現在、環境問題への取り組みなどを通じて社会的責任を果たしている企業に資金を積極的に流そうとする潮流が存在していること、また、利益に直結するのかが不確実な環境配慮活動に積極的に取り組めていることが、投資家に向けて、経営状況が良好であることのシグナルとなる可能性があるためです。もちろん、こうしたメリットの大小は通常、企業間で大きく異なります。
環境と経済の両立についての判断が重要
仮に企業が積極的に環境問題に取り組む状況があったとして、それはどの程度、環境問題の解決につながるのでしょうか、また、そうした取り組みにより我々の生活はより良いものになるのでしょうか。例えば、企業が環境に配慮することで、今よりも高い価格で商品が提供されるようになる場合、我々の生活はより豊かになったと考えるべきなのでしょうか。また、そうした企業の取り組みは持続的に行えるのでしょうか。
我々の生活に多くの便益をもたらす企業活動とその活動にともなう環境負荷の社会的影響などについて、理論的または実証的に検証し、環境と経済の両立とは何か、我々にとって豊かさとは何かを模索するのが、環境経済学の面白さの1つなのです。
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先生情報 / 大学情報
広島修道大学 人間環境学部 人間環境学科 教授 岩田 裕樹 先生
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