世界初、日本オリジナルのロボットスーツが開拓する新しい学術領域
人の意思を読み取り動くロボット
サイバニクスを駆使した世界初のサイボーグ型ロボット「ロボットスーツHAL(R)」。人が装着し、人体と一体化させて使う世界最先端のロボット技術で、現在多くの施設で機能回復支援や動作支援に使われています。内閣府最先端研究FIRSTプログラムにも選ばれている、世界最先端の研究です。
人間の意思は、脳神経から身体へ伝達されますが、その際に生じる微弱な生体電気信号に従って、ロボットスーツは人の身体機能を支援するのです。
先頭を走る日本に必要なのは
明治以来、日本が多くの分野で急速に発展してきた要因は、欧米から技術や法律をも取り入れてアレンジしてきたからです。しかしそこには「創出する」というクリエイティブな過程が抜け落ちやすくなっていました。その結果、例えば日本で特許や学術論文を提出する際に、先行している論文と比較することが定着してゆき、海外を含めて先行する同様の研究があることが前提となっているのです。
しかし、今や世界をリードする先頭グループに入っている日本には、未来の開拓者となることが求められます。そのためには、次の社会がこうあるべきというグランドデザインが欠かせません。また、研究者は人間観や社会観、倫理観を柱に据えて育成されなければならないでしょう。
先端技術が社会で役立つものになるには
日本ではすばらしい技術が次々に生まれていますが、どんなにすごい技術でも、大切に育てなければ生きていけません。そして、その技術がいち早く社会に溶け込み役立つものになるためには、展開する企業や社会制度そして教育機関も大きく変わらなければなりません。
実社会は複合的なものです。技術を社会で役立てるという目的を達成するには、学問の垣根を取り払うばかりでなく、企業の仕組みや法律など異分野までをも扱う視点がなければなりません。これからの工学の研究者は、こうした複眼的な視野で新しい分野を開拓することが求められていくでしょう。
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