こどもの育ちを地域で支える ~こども食堂に参加して考える~

みんなで食べる「地域の居場所」
2012年に始まったとされる「こども食堂」は、近年、中学校区あたり1カ所程度の開催があるなど、全国的に広がっている地域活動です。食堂といっても、地域住民が中心になって運営するため、週1回・月1回など、できる範囲内での開催であり、安価もしくは無料のところが一般的です。また対象をこどもに限定せず、保護者や高齢者などいろいろな人の参加を促して、地域交流の場になっている場合も多くあります。さらに、こども食堂を支えることで地域の人たちの結束が高まるという地域づくりの側面もあります。
場の関わりの中で感じ取る
こどもたちの育ちを支える環境や生活課題について、こども食堂に実際に参加しながら調査・分析する取り組みがあります。その中では、長期間にわたって運営する地域団体やこどもたちと関わり、信頼関係を築きながら、現場でしか得られないさまざまな状況を感じ取ることが大切です。参加するこどもたちに生活面などを直接聞き取りすることでも重要な手がかりは得られますが、さまざまな背景を持つこどもたちがいるため、運営団体と相談しながら慎重に進める必要があります。また大学生が参加することで場の関係性が広がり、こどもたちにとっては大学生の姿が将来のロールモデルになる可能性も期待されます。
課題解決のきっかけになることも
日本は豊かな国で、「食べることに困るこどもはいない」と考えられてきましたが、実際には衣類や食料品を買うことにも困っているといった「こどもの貧困」が問題になっています。こども食堂に関わる中でも、経済的に困窮するこどもの状況が見えてくることは少なくありません。月1回程度のこども食堂の開催だけでは貧困状態の直接的な解決にはなりませんが、地域とつながることや、その関係性が広がることで、解決のきっかけになる可能性はあります。それ故にこども食堂をめぐる調査・分析を続けることは、健やかにこどもが育つ地域を考える上で非常に重要なのです。
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埼玉学園大学人間学部 子ども発達学科 准教授藤野 好美 先生
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