新型コロナ感染症対策 その効果や生徒への影響

新型コロナ感染症対策 その効果や生徒への影響

コロナ対策がメンタルに及ぼす影響

コロナ禍ではさまざまな感染症対策が実行されました。中でも学校では、無言で食事する「黙食」やマスク着用が求められたり、運動会や修学旅行といった行事が中止されたりしました。一方で、これら感染症対策の効果や生徒への影響に関する検証は十分とは言えません。
ある研究で、「コロナ禍での修学旅行の中止が、生徒のメンタルヘルスにどう影響したか」の因果関係がデータで示されました。全国各地の約1,800人の生徒にメンタルヘルスの検査を受けてもらい、「(修学旅行が)中止された生徒たち」と「中止されなかった生徒たち」とのそれぞれの回答が、経済学の統計手法を用いて分析されたのです。

心のケアが必要な生徒たち

分析によると、まず修学旅行を含む学校行事が中止になるほど、生徒が学校や友人関係に不満を持つ傾向が高まっていたことが明らかになりました。そして修学旅行の中止は、生徒のメンタルヘルスに負の影響があることも示されました。さらに修学旅行が中止された生徒のうち、男子よりも女子のほうが、また、部活動に参加している生徒よりも「帰宅部」の生徒のほうが、抑うつ症状を発症する傾向にあったのです。修学旅行に対する期待の高さや、部活動を通じて得られる幸福感の強さが背景にあると推察されます。研究結果を踏まえて、「メンタルヘルスに負の影響を受けた生徒たちに対するケアが必要」という提言が教育関係者や自治体の責任者に行われました。

エビデンスに基づいた対策を

日本の生徒たちは、2020年の一斉休校解除後も、厳しい感染症対策のもとでの学校生活を余儀なくされました。一方で対策の内容や程度は、自治体によってばらつきが見られました。さらに青年期のメンタルヘルスの問題は、その後の人生における長期的な健康や、将来の社会全体に負の影響を及ぼすリスクをも抱えています。感染症対策を行うメリットとデメリットはデータに基づいた公正な検証が必要であり、長期的な研究の重要性も高まっています。

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一橋大学 経済学部 経済学科 准教授 高久 玲音 先生

一橋大学 経済学部 経済学科 准教授 高久 玲音 先生

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医療経済学、応用ミクロ計量経済学

メッセージ

広く社会に関心を持ちながら、自分が面白いと感じるモノやコトを絞り込んでいきましょう。それが大学での学びにつながればベターです。ただ、声を大にして言いたいのは、「偏差値の高い大学に入ることが、必ずしも学びの楽しさに直結するわけではない」ということです。有名大学への受験勉強で力を使い果たして大学生活で燃え尽き症候群になるよりは、多少難易度や知名度が低くても、学びに全力投球できる環境の大学を選ぶ方がはるかに有意義です。大切なのは大学の名ではなく、大学での学びの質です。

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