震災当時の中高生の声から考える子ども・若者支援のあり方

震災当時の中高生の声から考える子ども・若者支援のあり方

支援の対象とならなかった子ども・若者

2011年3月11日、東日本大震災は発生しました。発生直後は食料や仮設住宅、金銭といった直接的な支援が寄せられ、その後ハード面の復興が進んでいきました。子どもたちへの支援についても、保護者を亡くした子どもたちへの支援や保育所などの復旧・整備、そして心身ともに辛い思いをした子どもたちへの心のケアに注目が集まっていました。しかし、当時の中学生や高校生への支援は、十分ではありませんでした。そもそもこの世代は、震災以前より福祉支援の対象として十分にとらえられてこなかったことが背景にあります。

話を聞いてもらうことの大切さ

当時の中高生は、現在社会人になっています。彼らに、定期的にインタビューが行われています。多くの若者たちに共通するのは「自分の話を聞いてもらえたことが大切だった」ということです。一方で、震災当時、彼らは「つらい」「しんどい」といった思いを表現しにくかったともいいます。周りにはもっとつらい経験をしている友だちがいたから自分は悲しんではいけないと考えたり、周囲が遠慮して自身の被災経験に触れなかったりしたといいます。また、震災から10年が経ち当時の記憶が薄らいでくると、自分たちの経験やこれまでのことが無かったことになってしまうのでは感じている人もいます。自分が経験した過酷な記憶や、抱えている不安を言葉にして整理する機会がないということは、自分ごととして今を生きることを難しくさせてしまっていたのです。

声をあげにくい人の視点に立つ

子どもたちや若者たちは、これまでほとんど自分の想いや考えを発言の機会と巡り合うことがありませんでした。震災時の子ども・若者に限らず、社会福祉の対象になりにくく、社会の中で声をあげにくい人たちは、数は少なくても確実に存在します。彼らの視点に立って、そこにある問題を共に考え、社会の中に提起していくことこそ、社会福祉学が果たすべき重要な役割なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 清水 冬樹 先生

東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 准教授 清水 冬樹 先生

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社会福祉学、心理学、社会学

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メッセージ

東日本大震災後の子ども・若者支援において、学習支援のようないわゆる居場所に着目しながら研究をしています。子ども食堂やプレーパークなども、子どもの居場所として広く認識されています。あなたが児童福祉や若者支援に興味があるなら、ぜひそうした場所に一度訪れてみてください。運営している人や、そこを利用する子どもやその保護者が、どんなことを大切にしながら取り組んでいるのか考えてみてほしいですし、あなた自身がこれからを考える上でのよき出会いにつながることもあります。

先生への質問

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東北福祉大学では、建学の精神である「行学一如」(理論と実践の融合)を目指し、キャンパス内にある附属病院「せんだんホスピタル」や介護老人保健施設「せんだんの丘」、幼稚園や保育所等の関連施設で様々な実習を行っています。実学臨床教育やインターンシップを行い、より現場に近い教育を実現します!福祉・マネジメント・子ども・医療・リハビリをキーワードに4学部9学科で構成されている「福祉の総合大学」です!