液体窒素温度(マイナス196℃)で躍動する超伝導体

液体窒素温度(マイナス196℃)で躍動する超伝導体

超伝導体ってすごい!

超伝導とは電気抵抗がゼロになる性質をいい、超伝導体は電力エネルギーを損失なく運ぶことができるというのが特長です。セラミックスである銅酸化物超伝導体は、マイナス180℃程度に冷却すると超伝導を示すことから、冷媒には無尽蔵に存在する窒素を液化した安価な液体窒素(沸点はマイナス196℃)を利用できます。この超伝導体は、液体窒素温度にて単位平方センチメートル当たりに数100万アンペアもの大電流を抵抗ゼロで流すことができ、そして、コイル化することで強力な磁界を作り出すことができます。まさに“躍動”します。

超伝導技術を普及させるには?

超伝導の技術は私たちの生活の中に徐々に広がってきています。代表例としては2027年開業予定のリニアモーターカーや医療分野での磁気共鳴画像診断(MRI)が思いつくでしょうか。しかし、上述したすごい特性をいまだ活かし切れてはいません。普及させるには、材料開発の観点では「磁場中での通電値の向上」や「線材の量産化技術」が求められています。超伝導体をコイル化して電磁石として利用する際には、発生した磁束線が超伝導体自身の内部に進入して運動し、超伝導の仕組みを破壊してしまいます。また、超伝導の品質を落とさずに数十kmの長さを得ることは容易ではありません。

新しいアイデアで貢献

超伝導をコイル化した際の磁束線の発生は避けられませんが、進入する磁束の運動を防ぐことができれば影響を最小限にできます。不純物を人工的に超伝導体内へ微細分散させることによって、磁束の運動を抑制できることが分かってきました(磁束のピン止めと言います)。長尺化に向けては、線材同士を貼り合わせる(接合する)手法にも注目が集まっています。例えば、紙を“のり”で貼り合わせるように、超伝導の原料をのりとして接合部に塗り、熱処理を工夫することによって電気抵抗ゼロで接合できることが報告されるなど、接合する技術も進展してきています。新しいアイデアで超伝導技術の普及に貢献できる材料研究が進められています。

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九州大学 工学部 物質科学工学科 教授 寺西 亮 先生

九州大学 工学部 物質科学工学科 教授 寺西 亮 先生

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無機材料工学、結晶化学、薄膜工学

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メッセージ

私たちの豊かな暮らしはさまざまな技術やモノに支えられています。いま、欲しい情報があればインターネットで調べることで簡単に手に入りますが、新しい技術やモノは向こうからやってくるものではなく、ヒトが知恵を絞って産み出していくものです。
モノづくりの新しいアイデアは、ふと思ったことや気が付いたことを何となくおしゃべりしながら、仲間の意見を掛け合わせていくところでよく生まれます。本学材料工学科の教員は、学生との日々の会話をとても大切にしています。独自のアイデアで材料開発に挑みたいというあなたを歓迎します。

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