「超電導×水素」で脱炭素社会を実現する

「超電導×水素」で脱炭素社会を実現する

超電導体を液体水素で冷却する

ある種の物質を冷やすと電気抵抗がゼロになる現象を超電導(超伝導)と呼びます。超電導コイルは、効率よく省エネルギーな発電を可能にします。しかし、超電導材料を冷やすために電気を使うと、省エネ効果が打ち消されてしまいかねません。ここで登場するのが液体水素です。
脱炭素社会の実現のために、海外からグリーンエネルギーとして水素を輸入する必要があります。運搬には、冷やして液化して運びます。この液体水素を超電導材料の冷却に使えば、冷凍機が不要になり、冷却費用がかかりません。浮いた費用の一部を液体水素の提供側に支払うことで、水素の低価格化にも貢献できます。

高温超電導材料で発電機を作る

発電機では、超電導コイルを1分間に3600回転させます。そのため、コイルに自重の8000倍ほどの遠心力がかかります。液体水素の温度で超電導を起こせる「高温超電導材料」のコイルはセラミックス製で、大きな力がかかると壊れてしまいます。固めたり、強靭なケースに入れたりすると、高い電流密度で電流を流せるという超電導の特徴が消えてしまいます。また重くなると振動が起きるなど、機器としては使いづらくなります。どうしたら少ない補強で高い強度を得られるかを解析して検討し、実際に物を作り、設計通りの強度が出るかを検証するサイクルを回していきます。

カーボンニュートラルの実現に向けて

日本は、2050年に脱炭素社会を実現すると宣言しています。この期限を守るためには、小規模な発電機をできるだけ早く完成させ、実際に電力系統に入れる試験などを繰り返し、2035年には実用化するくらいのスピードで進める必要があります。液体水素の供給網の確立、発電機以外の機器の開発と実用化なども並行して進めなければなりません。さまざまな分野の関係者を巻き込み、世の中にどう貢献していくのかを共に考え、次世代の生活の中で本当に役立つものを作り、送り出すという、社会の大きな変化を支える仕事なのです。

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先生情報 / 大学情報

関西学院大学 工学部  准教授 大屋 正義 先生

関西学院大学 工学部 准教授 大屋 正義 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

超電導工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生のあなたは、将来、どんな暮らしや仕事をしたいか、たくさん考えていることでしょう。世の中が複雑になり、スピードも速く、多様化している現代では、高校時代に進路を狭めてしまわずに、幅広い知識を得たうえで、自身の専門性を考えるというやり方が適しているのではないでしょうか。私たちは、超電導の分野で、さまざまな領域の知見を統合し、大勢の人たちと協力しながら、世の中に本当に役立つものを開発しています。これがあなたの未来への土台にもなれることを願っています。

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スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。