講義No.10560 医療技術

住環境と道具のオーダーメイド〜環境を変える作業療法~

住環境と道具のオーダーメイド〜環境を変える作業療法~

オーダーメイドの住環境とは?

高齢者や子ども、あるいは身体障がいや精神障がいのある人にとって、住環境がもう少しその人に合ったものであれば、格段に生活がしやすくなったり、ストレスが軽減されたり、症状が軽くなったりするケースは少なくありません。例えば、高齢者の自宅のトイレに手すりを取り付けるとします。一般的には、便座のそばに縦のポールを付けると、便座に座ること・便座から立ち上がることが、自力で行いやすくなり、自立につながります。しかし、取り付ける位置やポールの色などによっては、使いにくく感じる人もいるのです。使い勝手のよさは、使う人の心身の状態や、日常動作の様子などによって、微妙に変わってくるからです。

道具も個々人に合わせたものを

生活の道具も、オーダーメイドにすることで大きなメリットがあります。例えば、食事で使う「箸」です。手指の機能の低下や、指の変形のために普通の箸が使えなくても、突起やバネなどがついた箸なら使える場合があります。これらを「自助具」と呼んでいます。自助具は、手の大きさ、指の変形の具合、動く範囲、握力などに合わせて、突起の大きさや角度、バネの強度を変えることで、使い勝手が飛躍的に向上します。一人ひとりに合わせることがとても大切なのです。そのため、作業療法士が粘土や木工などで手作りすることも少なくありません。

環境を変えることに着目する

体や心のリハビリテーションをすることだけでなく、少しでも心身ともに使いやすいオーダーメイドの住環境や道具をつくるために、より的確できめ細かいアドバイスを提供することも、作業療法学のテーマの一つです。心身の機能は変わらなくても、環境や道具に着目し、それを少し変えるだけで、できるようになる作業や動作はたくさんあるからです。
こうしたオーダーメイドのサービスを、特定の人だけでなく、多くの人が受けられる仕組み作りも大切です。そのために、道具の製作に3Dプリンターを活用することなど、新しい試みが始まっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京科学大学 医療科学部 作業療法学科 講師 澤田 有希 先生

帝京科学大学 医療科学部 作業療法学科 講師 澤田 有希 先生

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作業療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代は、さまざまな考え方や、多様なフィールドを持つ友人と出会える、人生の中でとても貴重な時間だと思います。大学でも出会いはありますが、専門性が強くなればなるほど、知り合う人々や体験する事柄は、おのずと専門領域に絞られていきます。
ですから高校時代は、進路にかかわらず、幅広いジャンルの友人との交流や、高校時代にしかできないさまざまな経験を楽しみましょう。そこで培われた視野の広がりは、専門性を深めるときにも、必ずあなたの役に立ってくれるはずです。

先生への質問

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先進の設備が揃う千住キャンパス、自然を教材に研究できる東京西キャンパス。2つのキャンパスで、動物・自然・健康・医療・福祉・教育のキーワードをもとにいのちの尊さを学びます。
生命環境学部・医療科学部・教育人間科学部の3学部13学科を擁する総合大学として、動物介在療法やアニマルセラピー、ロボット介在教育など、本学ならではのユニークな教育・研究が進められています。