「学習障がい」の子どもたちに適切な教育環境を!
「学習障がい」とは
「学習障がい」は、発達障がいの1つです。知的な遅れがなく、コミュニケーションや運動機能には全く問題がないのに、「書く」や「読む」などの特定の分野に、著しい困難がある障がいです。
特に多いのが、「書く」ことが苦手な学習障がいです。頭の中ではわかっていて、話すことは得意なのに、漢字が書けなかったり、書くことが遅くて最後まで答えを書ききれなかったりするため、ペーパーテストでは点数が取れないことが多いのです。そのため、学力や理解力に合った得点が取れず、正当な評価が受けられないこともしばしばです。それどころか、「やればできるのに怠けている」などと的外れな評価を受け、辛い思いをして不登校になってしまう例も見られます。
パソコンの活用が有効なことも
実は、「書く」ことが困難な学習障がいがあっても、パソコンの文字打ちは問題なくできる人が多いのです。そこで、ノートに書き取ったり、テストで答案用紙に書き込んだりする代わりに、パソコンに打ち込むようにすれば、学習障がいによる不利益は大幅に解消できます。
また、聞くことは得意なのに読んで理解することが困難な学習障がいの場合も、同じことが言えます。この障がいでは、教科書やプリント、黒板に書いてあることを「読む」のは苦手ですが、聞いて理解することはむしろ得意です。ですから、プリント類をスキャニングし、それをパソコンで音声データに変換して聞くようにすればカバーできるのです。
それぞれに即した教育環境を
このように、パソコンなどのICT(情報通信技術)を活用することで、学習障がいの子どもたちの教育支援につながる可能性は広がっています。
もちろん、人によって困難がある場面はさまざまで、ICTの活用だけではカバーできないことも少なくありません。そうした場合も含め、従来の学習方法にこだわらず、それぞれの性質に合った適切な教育方法を研究し、支援の仕方や環境を整備・開発することは、教育学の重要なテーマなのです。
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先生情報 / 大学情報
高崎健康福祉大学 人間発達学部 子ども教育学科 講師 村田 美和 先生
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