助産師による迅速かつ適切な蘇生が、赤ちゃんの命を救う!

妊娠期から産後まで母子を支える助産師
助産師は、女性の生涯にわたる性と生殖に関わる健康を支援する専門職です。
妊娠期から出産後の母子の健やかな生活のために、健診と保健指導、新生児のケア、その後の育児指導など、長期にわたって母子と家族を支えます。特に、分娩時には産婦と赤ちゃん2人の命を守ります。
正常な分娩では、赤ちゃんはお母さんの体から生まれて15~20秒ほどの間に呼吸を始め、産声をあげます。しかし、30秒経っても泣かない、あるいは呼吸が弱くてぐったりしている場合は蘇生処置を行い、自発呼吸を促します。
迅速なかつ適切な判断と蘇生処置
新生児の蘇生は、推奨されているアルゴリズムに沿って段階的に評価・処置を行います。赤ちゃんの呼吸が弱く、ぐったりしている場合は、羊水を拭き取り暖かい場所に寝かせたり、背中などをさすって呼吸を促します。それでも心拍数と呼吸が回復しなければ、鼻と口にマスクを当てて人工呼吸を開始します。ここまでの時間は、わずか60秒です。早期に呼吸を安定させることは赤ちゃんの命を救い、また低酸素による脳のダメージを抑制して後遺症の発症も防ぎます。そのため助産師には瞬時の判断と適切な処置が求められます。
トレーニングをVRで
生まれてすぐの赤ちゃんに蘇生処置が必要な状況は頻繁に発生するものではありませんが、いつ起こるかはわかりません。だからこそ、命に関わる緊急の事態に備えた十分な訓練が必要不可欠です。現在は実習に進む前に、新生児サイズの人形を用いたシミュレーショントレーニングが行われていますが、リアリティの欠如やトレーニングが授業時間内に限定されるなどの課題も指摘されています。
その解決に向けた取り組みとして進んでいるのが、VR技術を活用した教材の開発です。新生児蘇生の現場をVR空間に作り出して、まるで現場にいるかのような臨場感の中で、評価や処置の正しい選択をクイズ形式で学んでいきます。授業以外に繰り返し自己学習ができる利点もあり、新たな学習方法として実用化が期待されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報

高崎健康福祉大学保健医療学部 看護学科 教授寺口 顕子 先生
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先生への質問
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