発達障害を理解し、ともに生きていくために必要なことは?
大きく3種類に分かれる発達障害
発達障害とは、人間の脳機能の発達のアンバランスや遅れなどによって引き起こされる症状です。発達障害は、LD(学習障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如・多動性障害)の大きく3種類に分けることができます。
LDは、知的発達にはあまり問題がないものの、特定の能力を身につけたり発揮したりすることが苦手という障害です。読み書き、計算、記憶や推論など、人それぞれに苦手な技能があります。ASDは、ほかの人とのコミュニケーションが困難という社会性の障害や、行動や興味関心に強いこだわりが見られるなどの特徴があります。
ADHDは、注意力が保てなかったり、じっとしていられず衝動的に動き回ったりしてしまうといった行動調整力の障害です。発達障害のある人は、これら3つのうち複数の傾向を併せ持っていることが多いです。
周囲との軋轢による傷つき
発達障害のある人は、周囲の人々や社会から誤解されたり疎外されたりすることによって精神的に傷つき、怒りや不安、劣等感や不信感を抱え込んでしまい、自分の可能性をうまく伸ばせずにいることがあります。子育てにおいては、自分はダメなんだ、みんなに合わせられず、うまくやっていけないんだといった子どもの自己否定感を、その子の発達の特性に配慮した教育やメンタルサポートを通して防止することが大切です。他人と比較するのではなくその子自身の素敵な部分を磨き出していくようなサポートを心がけなくてはなりません。
誰もが発達の偏りを持っている
たいていの人間にはなんらかの発達の偏りがあって、発達障害に結びつく傾向を持っていると考えられます。現代の学校や社会で発達障害児者が抱えている苦しみは、特別な人たちの問題ではなく、誰にでも起こりうる生きづらさの象徴であるといえるでしょう。子どもから大人まで、誰もがそれぞれの違いを互いに受け入れて、支え合いながら生きていけるような社会づくりが、これからの私たちには求められています。
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先生情報 / 大学情報
帝京平成大学 人文社会学部 児童学科 保育・幼稚園コース 准教授 依田 忍 先生
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