講義No.10618 食物・栄養学

「○○が△△に効く!」 それだけが食品の機能ではない!!

「○○が△△に効く!」 それだけが食品の機能ではない!!

健康に必要な食品の3つの機能

食品の機能性というと、メディアは生活習慣病などへの効果を強調しがちです。例えば乳酸菌が腸内環境を改善する、カテキンが脂肪を分解する働きを高めるという情報は注目されますが、それだけが食品の機能ではありません。食品には3つの重要な機能があります。第一に、生きるために必要な栄養素の補給、第二においしさの提供、第三が高度な生体調節機能です。食品の機能性についてはこれらを総合的に考えることが重要で、一つだけにこだわると、かえって健康を損ねてしまいかねません。

栄養素を補給して、おいしさで満足感を得る

食品から摂取できる栄養素には、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルという5大栄養素があります。これらをまんべんなく摂取すれば健康につながることが期待できるでしょう。そのためにはバランスのよい食事が必要ですが、実践は簡単ではありません。そこで、彩り豊かな食事が目安になります。白色のご飯、茶色の揚げ物、緑色の野菜……というように色彩豊かな食事になれば、いろいろな栄養素を摂取できているといえるでしょう。また食品には5大栄養素以外の成分も含まれ、それらが健康の維持に寄与している可能性があります。
そして味も重要です。サプリメントを飲めば必要な栄養素を摂取できるかもしれませんが、満腹感や心の満足感は得られません。おいしく食事を楽しむことも、健康づくりには必要です。

生活習慣病をいかに防ぐか

現在、社会の高齢化や生活習慣病の増加をいかに食い止めるかが課題になっています。その中でも、適切な食習慣は生活習慣病予防の一端を担っているといえるでしょう。特定保健用食品(トクホ)などの機能性食品を必要に応じて摂取すると共に、生活に適度な運動を取り入れることも重要です。健康なからだ作りをめざすことで、通院の必要性も減り、医療費削減も実現します。食品は薬のように、すぐに効果が表れるわけではありません。正しい知識をもって、良い習慣を長期にわたって実践することが健康のためには重要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

長崎国際大学 健康管理学部 健康栄養学科 講師 藤井 俊輔 先生

長崎国際大学 健康管理学部 健康栄養学科 講師 藤井 俊輔 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

栄養学、食品機能学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究は機能性食品や薬用植物(生薬)などに含まれている天然化合物がターゲットです。これらのターゲットに対するモノクローナル抗体の作製を主軸に、さまざまな免疫化学的分析手法の開発に取り組んでいます。将来の機能性食品や医薬品開発の一端を担う研究です。一方所属する健康栄養学科では、栄養学や食品学を教えています。食品の中には栄養素のみならずさまざまな成分が存在しており、私達の健康に寄与することが考えられます。栄養素について学ぶだけではなく、食品を構成する栄養素以外の成分に着目してみることも大変興味深いと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

長崎国際大学に関心を持ったあなたは

長崎国際大学は、「いのち・健康・暮らし」の共通コンセプトで結ばれ、現代の社会で必要とされている「対人サービス」の分野に根ざした、国際観光学科、社会福祉学科、健康栄養学科、薬学科で構成されています。これらの学びは、実社会での仕事においても関連性が高いことから、他学科への理解も深めることができるよう、学科の連携を整えています。また、キャリア教育も充実。単なる就職活動対策にとどまらず、就職後の長いキャリア形成を展望したキャリア教育を実施。全学を通じて現代社会に求められる人材を育成しています。