こんにゃくから見えてくる食と農の世界

こんにゃくから見えてくる食と農の世界

こんにゃくから「フードシステム」を考える

あなたが普段食べている食品は、どこの誰が作り、どのように流通して、食卓にのぼるのでしょうか。食料の生産、加工、流通、調理、消費に関するすべての要素と活動を指す「フードシステム」について、日本の伝統的な農産加工品である「こんにゃく」を通して考えてみます。こんにゃくは、原料となるこんにゃく芋を加熱して粉砕し、カルシウムを含む凝固剤で固めて作ります。原産地は中国で、日本に伝わったのは仏教伝来のころなど諸説あります。江戸時代に水戸藩がこんにゃく芋の粉末化に成功したことで保存性が向上し、各地に広く普及しました。

「手結び糸こんにゃく」が中国産になったわけ

現在では国内のこんにゃく芋の約9割が群馬での栽培です。群馬では終戦後、養蚕業の衰退により桑畑が耕作放棄地になり、県が新しい産品としてこんにゃく芋の品種改良を手がけ、生産加工を拡大させたのです。一方でコンビニおでんでもおなじみの「手結び糸こんにゃく」はほとんどが中国からの輸入です。味しみがよい糸こんにゃくは、かつては家庭で調理され、手結びされていました。それが働き方の多様化にともない「あらかじめ巻いてある調理済みのもの」へのニーズが高まり、「手結び糸こんにゃく」という商品が生まれ、コンビニおでんの人気メニューになりました。しかし手結びの加工を日本で行うとコンビニおでんとして買ってもらえるような価格では成立しません。そこで人件費が安い中国で、日本からの資本や技術を移転したうえで、新たに生産や加工を行い、輸入するようになったのです。

変わりゆくフードシステム

このように、こんにゃくに限らず、社会構造や生活様式などの変化を受けてフードシステム(食と農のつながり)も変化します。研究者の役割は、フードシステムを俯瞰したうえで、薄れゆく産地と消費者とのつながりを持たせるための提言をしたり、産品の販路拡大のための輸出動向を注視したり、食の未来をアシストすることです。フードシステムを知ることで、食の楽しみの幅も広がります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

宇都宮大学 農学部 農業経済学科 准教授 神代 英昭 先生

宇都宮大学 農学部 農業経済学科 准教授 神代 英昭 先生

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農業経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究方法は、現場に行って声を聞く「実態調査」がメインです。現場を見て、産地や企業の人たちの話を聞くことで地域の伝統や食文化、産業構造などを明らかにしていきます。
また、「調査」は日々の食事からも行えます。食事をなんとなく口にするよりも、「産地はどこかな」「加工はどうやっているのだろう」と意識して調べていくことで、おいしさも変わってくるでしょう。小さなことにも関心を向けて、調べて、現場の声を聞いて、学問の楽しさを味わっていきましょう。

先生への質問

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宇都宮大学は、地域デザイン科学部、国際学部、共同教育学部、工学部、農学部、データサイエンス経営学部からなる総合大学で、 宇大スピリット=「3C精神」を大切にしています。これは明るい未来の開拓のために「Challenge」=主体的に挑戦し、「Change」=時代の変化に対応して自らを変え、「Contribution」=広く社会に貢献するという意味を込めた言葉です。これを大学の空気として醸成し、学生と教職員が一体で未来を開拓していく強い決意を込めています。宇都宮大学で学び、共に未来を開拓しましょう!