もっと楽しくなる! 子ども中心の音楽の授業のあり方を考える
音楽科教育に求められるもの
あなたは小学生の頃、音楽の授業で、皆の前で歌ったり、リコーダーを演奏したりしたのではないでしょうか。小学生や幼児への音楽教育において、歌や演奏の技能の育成も重要な要素の一つですが、それだけが音楽教育の目的ではありません。特に現代の音楽教育においては、子どもが音楽を聴いてさまざまなことを感じ、それらを歌や演奏、あるいは自分の言葉で表現する力を養うこと、また自分が音から捉えたイメージに合うように自分で表現を作り替えていく「問題解決能力」を育成するような授業のあり方が求められています。
ほかの媒体を取り入れる
小学校4年生の音楽の鑑賞の授業では「魔笛」というオペラ作品を取り扱います。劇中のある1曲を聴いて、子どもがその感想を書く、という授業風景が思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、楽曲だけでなく映像とともに鑑賞することで、登場人物がどのような動きをつけて歌っているのか、どんな衣装を身にまとい、誰と誰が一緒に歌っているのか、といったことが視覚的に理解できます。映像を通して鑑賞体験がより深まり、感想文を書く際にもさまざまな要素を自分の中で価値づけながら、自分なりの言葉で表現できるようになります。
子ども中心の授業を
鑑賞活動だけでなく、表現活動においても、自分なりの思いを持つことが大切です。例えば「民謡《こきりこ》を歌い、踊り、楽器を演奏する」という学習活動を設定します。すると、歌の調子に合わせるにはどんなステップが良いのか、楽器の音色をどのように出せば曲の雰囲気に合うのかなど、さまざまな問題が出てきます。これらをグループで話し合いながら工夫を重ね、表現を作り替えていくことは、「問題解決」につながります。
音楽教育学という学問分野では、音楽の授業で学力を高めるための授業実践のあり方を研究しています。授業実践における子どもの姿から、子どもの思考や表現の変化を読み取り、子どもを中心にした授業のあり方を考え、授業を作り替えていくことが、音楽教育学の重要な役割なのです。
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先生情報 / 大学情報
畿央大学 教育学部 現代教育学科 講師 渡邊 真一郎 先生
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先生への質問
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