時代の変化によってさらに高まる、日本語教育の重要性
全人口の1.8パーセントが外国籍の人々
日本国内には、全人口の1.8パーセントにあたる、約240万人もの在留外国人が暮らしています(2016年末現在)。「近所に外国人の子どもがいる」「アルバイト先で外国の人と一緒に働いている」という人もいるでしょう。そうした日本語を母語としない人たちのための日本語教育のニーズは、国内でもますます高まっています。
日本語を学ぶための環境の整備を
日本語教育の現場では、日本語を教える対象の人々の多様化が進んでいます。以前は主に留学生が対象でしたが、最近では働くために日本で暮らしている人とその家族が増えました。働きながら暮らしている人々の中で、日本語があまり話せない人の多くは、製造業や建設業の現場で働いています。国籍もさまざまで、それぞれに異なる事情を抱えています。このような人は英語も話せない場合のほうが多いのです。
さらに、問題となっているのが、日本で暮らす外国にルーツのある子どもたちの教育です。今、日本全国の小学校には、日本語があまり話せないのに、そのまま学校に通わざるをえない環境に置かれている子どもが大勢いるのです。地域によっては、クラスの約半分が外国人の子どもという事例も報告されています。日本語を学びたくても、その機会が保障されていない人たちの存在を、無視することはできなくなっています。
これからの日本語教育に求められること
これからの日本語教育とその現場に携わる人には、単に日本語ということばを教えるだけではなく、日本語を学ぶのに困難な状況に置かれている人をその生活の部分から支援し、学習環境を整えていくための取り組みも求められています。
日本では法律や支援体制の整備もまだまだ追いついていない状況ですが、外国人の人々と日本人がお互いを尊重しあって暮らしていける環境を保障できる社会にすることは、今後の日本にとって重要な課題となっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 教育学部 教育文化学科 教授 日野 純子 先生
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