講義No.10791 経営学・商学

会社を選ぶ基準は何? 組織と個人の関係を説明する全人仮説

会社を選ぶ基準は何? 組織と個人の関係を説明する全人仮説

組織は誰かの目的を実現するために作られる

組織とは何でしょうか。企業や学校、病院、軍隊、また部活や家族も組織です。これらの一番大きな違いは目的です。たとえば企業の目的は利潤の獲得であり、学校の目的は教育を通じて人格形成を行うことですが、最初にその組織を作ろうと考えた人が実現したいと思った目的がその組織の目的となり、その目的に応じて組織の種類が異なってきます。組織はその組織目的を実現することが重要となりますが、そのためにマネジメントを行います。

「誘因-貢献」で個人のモチベーションがわかる

では、組織に対して人はどのように行動するのでしょうか。これを決めるのが「誘因」と「貢献」です。誘因とは、なにかすることによって得るものです。労働者は労働することで給料を得ます。ボランティアなら、ボランティア活動をすることによって人の役に立つという満足感を得るでしょう。これが「誘因」です。一方、貢献とはなにかすることによって失うもののことです。労働もボランティアも自分の時間や体力を失います。このような誘因から貢献を引いた値がプラスであれば人は何かしようというモチベーションを持つことになります。これは経営者であったチェスター・バーナードが作った考え方で、「全人仮説」と呼ばれています。

モチベーションをマネジメントする

組織目的を実現するためにリーダーや管理者はいろいろなことをマネジメントしますが、組織のメンバーのモチベーションを引き出すこと、つまり組織メンバーのモチベーションのマネジメントも重要なマネジメントの1つです。「誘因-貢献」がプラスであれば人は何かをするためのモチベーションを持ちますが、何を誘因と感じるか、何を貢献と感じるかは人それぞれ異なります。組織をマネジメントする人は、その組織メンバーが何を求めているのかを知り、それに応じた誘因を適切に提供することで、メンバーのモチベーションを引き出して組織目的の実現をめざします。経営学にはこういったマネジメントに関する知識がたくさんあります。

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大阪学院大学 経営学部 経営学科 准教授 宮田 将吾 先生

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メッセージ

大人は若者がすることを否定する傾向にありますが、若者が生み出す文化や新しい価値観はとても重要です。たとえば、昔はアニメやゲームといった子どもたちが関心を持ったコンテンツを大人は否定していましたが、現在は日本の文化となり、重要な産業にもなっています。このように、大人が常に正しいということではありませんので、あなたが信じる価値観を大事にしてほしいと思っています。経営学は一人では実現できない目標をみんなで協力して実現する際に役立つ学問です。経営学を使ってあなたの信じる新しいことに挑戦してください。

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