経営学とは心理学でもある!?
経営学は身近な学問
経済学と経営学の違いについて、経済学はビジネスパーソンが学ぶ学問で、経営学は会社の経営者が学ぶ学問だと思っている人がいますが、それは間違いです。経営学とは、いわばビジネスパーソンの仕事を科学する学問であって、組織に所属するすべての人に関係する、実はとても身近な学問なのです。
経営学のきっかけは科学的管理法とホーソン実験
100年ほど前、大企業が誕生してから、経営学という学問は始まりました。その頃、経験や勘に頼るのではなく、マニュアルや分業体制など、作業の効率化をはかるための「科学的管理法」が生まれたのです。その後、1920年代に、アメリカのある企業で「ホーソン実験」と呼ばれる実験が行われました。それは、工場の労働者から何人かを選び出し、照明や休憩時間、賃金など、環境をさまざまに変化させて、どういう環境なら作業効率が上がるかを調べようとしたものです。結果から言うと、その調査自体は失敗に終わりました。いろいろな条件下で生産性を比較しましたが、また元の条件に戻してみても、調査する前よりも生産性が大きく上がったのです。選ばれた労働者は、大勢の中から自分が選ばれたと思うことでやる気が出て、それが生産性の向上につながっていたというわけです。この実験によって、外的環境よりも、個人のモチベーションのほうが作業効率を上げるのに役立つことがわかりました。
組織に関わる人間の気持ち
現在の経営学は、このような成果に基づいて、いかにして個人のモチベーションを高めるか、また、組織の中でどのようにすれば個人が働きやすくなるのかを研究するなど、心理学的な要素がかなり大きい学問となっています。そして、そこで研究されることは、企業だけでなく、大学や病院など、あらゆる組織での活用が可能です。つまり経営学とは、組織に関わる人間に焦点を当てて、その気持ちを解明していく学問だと言うことができるのです。
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