ケガを最小限にしながら競技力を上げるには
痛みで病院に行くのが25%という少なさ
スポーツで高い競技成績を残すためには、質・量ともに高いレベルの練習が求められがちです。ただ、そうなるとケガのリスクが高まります。加えて、高校の部活だと3年弱という時間しかありません。選手も指導者もケガの期間を短くしたいと考えていますが、必ずしもそうはなっていないのが実態です。
高校生の陸上部員2000人以上を対象に、「痛みを感じた場合にどう対応したか」を調査したところ、病院に行ったのが25%、整骨院や鍼灸(しんきゅう)院といった病院以外の治療院に行ったのが45%で、病院受診が非常に少ないことがわかりました。
指導者との関係性も重要
痛みを感じても指導者に報告しないという選手が35%ほどいました。そこにはなんらかの理由でケガを隠したいという意識もうかがえます。これは選手と指導者のコミュニケーションがうまくいっていない可能性を示しています。
指導者がケガを認識し、医師の診断のもと治療計画が明らかになれば、段階的に回復メニューを立てることが可能になります。ケガを長引かせないためにも、適切に報告と相談ができる関係性を築くことで、再発予防と競技力向上を両立して練習を進めることができます。選手だけでなく、指導者にも正しい認識を広めることが重要な点です。
望ましいのは自主性の獲得
ケガ予防には、自分自身で行えることがあります。1つは、体調で練習量や強度を調節できるようになるため、記録をつけることです。練習内容だけでなく、体調なども練習日誌に記録してみましょう。また、自分でのストレッチやマッサージなどコンディショニングをしたり、入浴や睡眠確保も重要です。治療院やトレーナーの効果を高めるには自分も賢くなる必要があります。大切なことは自主性の獲得です。これはモチベーションの維持にもつながりますが、育成には時間がかかるため、限られた時間の中では必ずしも歓迎されません。勝つことが最優先となりがちな環境のなかで、ケガの予防と競技力向上をいかに両立するかが重要です。
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大阪学院大学 経済学部 経済学科 准教授 松尾 信之介 先生
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