未来が予測できる! 連立方程式でわかる経済効果
「経済効果」の使われ方
ニュースではよく「オリンピックの経済効果は〇〇兆円」などといった予測が報道されます。最近では、アニメやドラマの舞台となった場所に大勢のファンが「聖地巡礼」に訪れ、「経済効果が〇〇億円あった」といったことも話題になりました。「経済効果」とは、イベント開催など、ある事象が起きた時に、交通費や飲食代なども含め、その事象によって増える売上の合計のことです。イベントそのものによる売上だけでなく、周辺のあらゆる産業で生じる売上も加味して、合計でどれくらいの売上が増えるのかという予測になります。この「経済効果」は経済学の理論を用いて計算されるため、イベントを誘致するメリットを数値化したものとして、行政の施策の根拠にも使用されています。
経済効果はどうやって算出するのか
全国規模のイベントだけでなく、個々の自治体の施策や、特定の企業の生産活動も経済効果を生み出しています。例えば、助成金である地域の観光客が増えた、または、ある工場の出荷額が増加した、といった出来事によって、その地域のあらゆる産業の売り上げがどう変わるかについて計算・予測できるのです。
こうした計算のもとになるのは、国や都道府県が5年に一度作成する「産業連関表」というデータです。この公表されたデータを「連立方程式」に当てはめて経済効果を計算していきます。こうした分析によって、自分の住む町ではどの産業がもうかりやすいのか、どのような施策を打てば町が元気になるのかといったことも明らかにすることができます。
「跳ね返り効果」とは
経済効果には「跳ね返り効果」というものもあります。例えば、ある町でマラソン大会を行った場合、その経済効果は近隣の市町村にも広がっていくことが知られています。さらに、近隣の市町村で活性化した経済の影響は、最初にイベントを行った町に良い影響が跳ね返ってくることになります。こうした跳ね返り効果まで加味した計算をすれば、より詳しく国や地域の経済予測を行うことが可能になるのです。
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先生情報 / 大学情報
山口大学 経済学部 観光政策学科 准教授 加藤 真也 先生
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計量経済学、観光経済学先生が目指すSDGs
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