超能力=超心理学を学問的に研究するには?
超能力を科学する!?
心理学の研究において、20世紀半ばから「認知科学」という大きな流れが出てきました。認知、つまり記憶や思考をプログラムで作成し、コンピュータの上で同じものが実現できれば理論として成立するというものです。そしてコンピュータ科学、神経科学、さらには脳科学の要素を加えた「認知神経科学」と呼ばれる学問が生まれました。
一方、超能力については現在「超心理学」という分野で研究が進められています。超心理学は認知神経科学では証明できない人間の能力を扱います。具体的にはESP(超感覚的知覚)、いわゆるテレパシー、透視、予知、そして念力などの現象を対象とした研究です。
驚くべきデータは単なる偶然ではない?
世界レベルで行われている一つの実験を紹介しましょう。世界各地にRNG(ランダム・ナンバー・ジェネレーター)という自動的に乱数を発生させる装置を設置し、その乱数データをプリンストン大学のサーバに集約しています。そのデータはインターネットで即時公開されているのですが、大きな事件やイベントの時は、明らかにほかの時と違う乱数の動きが出ているのです。例えば9.11の同時多発テロの日は、通常の変動範囲からかけ離れた累積値が出ています。ほかにもオリンピック会場などみんながワクワクしている場所でも、それが顕著に観測されています。人類の集団的な念力のような何かが起きているのです。しかし、その「何か」はまだ理論化されておらず、今後の研究が待たれています。
どのような実験が行われるべきか
超常的な現象を扱う超心理学では、管理された条件下での実験が必要です。例えばテレパシーの事例は9割以上が錯覚です。しかし、テレパシーの受け手と送り手が別室にいて視覚刺激を遮断した状態での実験を100回ほど行うことで、テレパシーが実証可能なデータをたびたび得られるのです。そこには実験者や被験者の意欲や動機などの心理状態がかなり影響しているので、それも含めて理論化につながる実験をどう実施するかが課題の一つです。
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