地方都市で住民の足は確保できるか?
路線バスの減便・廃止が大きな問題に
地方都市で問題となっているのが、路線バスの廃止や減便です。大都市に住んでいる人や自動車で移動している人にとってはそこまで深刻な問題ではないかもしれません。しかし、運転ができない未成年やお年寄りにとっては、生活に関わる大問題です。バスが減便する理由としては、人口が減少しているため乗客が少ないこと、また運転手になる人が少ないことが挙げられます。乗客が少ないとバス会社は経営が難しくなり、運転手の待遇を上げられず、人手が集まりません。運転手が不足することになり、バスも減便せざるを得ず、さらにバス会社の経営も悪化します。結果として減便や廃止につながるという悪循環なのです。
必要なのは都市の集約化
路線バスを維持するためには、ある程度の乗客が必要となります。そのためにも根本的に都市のつくり方を変えていく必要があります。ある都市のバス会社の時刻表やルートと、行政が公開している人口データを分析してみると、人が全くいない道を走っている時間があり、無駄があることがわかってきます。もし公共施設や商業施設、住居などが都市の中心に集約されれば、路線バスにかかるコストも最小限に抑えられるでしょう。現実的に、郊外や集落に住む人に中心部に移住してもらうことは難しいですが、自治体によっては公共施設や商業施設を一定のエリアに集約していこうという動きは広まりつつあります。
データ分析を公共交通の活性化につなげる
バスの路線網や時刻表と、人口分布や土地利用データを組み合わせて分析すると、その都市ごとの特徴や課題も見えてきます。最近では自ら運行情報などの膨大なデータを公開するバス会社も増えつつあり、国や自治体もさまざまなデータを公開しています。公共交通の関係者だけでなく、住民や企業、行政、研究機関が共同でリサーチを進めることで、地域の課題や解決方法も見えてきます。将来的に自家用車への依存度を減らして、公共交通が充実した住みよいまちづくりへの取り組みにもつながっていくはずです。
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