超新星爆発の残骸を観察すると、宇宙の元素の起源が明らかになる
超新星爆発とは何か
太陽の質量の8倍以上の重い星は進化の最終段階で爆発し、これを「超新星爆発」と呼んでいます。爆発によって突然明るく輝き、その明るさは銀河全体を照らすほどで、地球から肉眼でも観察できます。爆発の衝撃波に取り込まれたガスは1000万度に加熱され、1680年の超新星爆発ではその痕跡が半径数光年に広がる高温プラズマ雲として観測できます。また、周辺には星の残骸が飛び散りますが、中心には元の星のコアが中性子星として残ります。残らない場合、それはブラックホールになると予測されます。
残骸の観察で元の星の構成や宇宙線の起源を解明
爆発時のガスには1000万度のプラズマが充満していて、ここでは主にX線が光っています。これを観測すれば残骸の中身がわかり、元の星の構成を推測することができます。X線の分光観測により、各部分のエネルギーの大きさがわかり、ここから温度や構成元素を明らかにできるのです。さらにX線の波長からは、元素の奥行きまで含めた位置関係がわかり、それから元の星の内部構造を推測できます。一方、光のスペクトルの形からは、地球から超新星までの距離がわかります。また、爆発の周辺部分では衝撃波で加速された電子を観測することもできます。これは宇宙線の起源と言われていて、宇宙線が発生するメカニズムを超新星爆発の残骸を観測することで解明できるのです。
宇宙の元素の秘密がわかる超新星爆発研究
このように超新星爆発からはさまざまなことがわかりますが、爆発の理由が証明されておらず、我々が見落としているなんらかの物理的要素が働いていると予想されています。宇宙が誕生した時、存在する元素は水素とヘリウムだけでした。水素が圧縮され核融合が起こり、ヘリウム、さらに炭素が生まれ、炭素とヘリウムから酸素が生まれました。さらに重い元素が核融合によって発生し、これ以上核融合ができない鉄が生まれ、それが星のコアに溜まったのです。超新星爆発の残骸を観察することは、宇宙の元素の秘密を明らかにすることにつながります。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 理学部 物理学科 助教 勝田 哲 先生
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宇宙物理学、天文学先生が目指すSDGs
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