恒星の最後の姿「ブラックホール」

恒星の最後の姿「ブラックホール」

太陽が最後を迎えるとき、何が起こるのか

宇宙では、次々と新しい恒星が生まれる一方で、寿命を迎える恒星もあります。例えば太陽の寿命は約100億年と考えられています。太陽の主成分は水素で、その中心では核融合反応が起こっています。燃料となる水素がなくなってくると、重力により収縮する力と核融合により膨張する力のバランスが崩れて太陽は膨張し始めます。その結果地球はもちろん、火星の軌道あたりまでを飲み込む赤色巨星になり、最終的には放出されたガスは惑星状星雲として観測され、その中心には白色矮星(はくしょくわいせい)が残されます。

太陽の重さと生命の関係

太陽のような恒星は質量が、その恒星の寿命や周りの環境を大きく左右します。もし太陽が今の2倍ぐらいの重さだったら、今よりもはるかに明るく輝いていたでしょう。すると現在の太陽系と同じ惑星が周りにあったとしても、地球は灼熱の世界となっていたはずです。また、その寿命は大幅に短いため、仮に熱に耐えうる生命体があり得たとしても、生命が十分進化する前に太陽が寿命を迎えた可能性が高いでしょう。
あるいは重さが今の太陽の約8倍を超えた場合は、さらに明るく輝き、一瞬にして爆発すると考えられます。これを超新星爆発と呼びます。

超新星爆発=ブラックホール誕生

巨大な恒星が一瞬にして大爆発を起こすと、短時間に膨大なエネルギーを周囲に放出し、周辺の環境を大きく変えます。中心には中性子星やブラックホールが残されます。ただしブラックホールの存在は理論的には疑う余地はないものの、確認することはできません。ブラックホールは、あらゆる波長の電磁波を吸収してしまうため、ブラックホールを直接観測することはできないのです。一方、ブラックホールは、あらゆるものを飲み込んでいきます。ブラックホールにものが吸い込まれていくときに発する光は観測することができます。例えば、これによってブラックホールの場所が推定されているのです。

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大阪公立大学 理学部 物理学科 教授 大西 利和 先生

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宇宙物理学、電波天文学、物理学

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