自治体の財源と地域振興策

自治体の財源と地域振興策

自治体の財源は

自治体を運営するための財源として、まず挙げられるのは税収です。税収には、住民税や固定資産税など、住民や企業が自治体に納める「地方税」があります。財源はこれだけでは足りないため、消費税や所得税などの一部を国が自治体に交付する「地方交付税」(実質的には「地方税」であるとする考え方もあります)、国からの補助金である「国庫支出金」や、外部から借り入れる「地方債」などでまかなわれます。自治体によっては人口減で税収が減り、運営が難しい地域も出てきています。

地域振興策の歴史

地域経済を活性化させるための政策でよく知られているのは、「地方創生」でしょう。地方創生のような地域振興策は、1960年代の高度成長期以降、形を変えて行われてきました。最初の「全国総合開発計画」では、工場を地方に分散させるため、国が指定した自治体に補助金を出すという仕組みが用いられました。その後もこうした全国一律のやり方が繰り返されましたが、やがて立ち行かなくなりました。そこで地方創生では、自治体がそれぞれ「地域版総合戦略」を作り、国が示した補助金(地方創生交付金)のメニューの中から事業を選んで実施する形がとられたのです。

地域の特性を生かした振興策を

地方創生の仕組みは、それぞれの地域の強みを反映した施策が実現できそうに見えますが、やや気になる調査結果もあります。地域版総合戦略の策定にあたり、大半の自治体が外部委託を行ったとあり、しかもその委託先は東京都に本社がある業者が圧倒的に多く、地方創生の目標とは裏腹に、東京一極集中となっていたのです。外部委託にあたっては、戦略策定のための補助金が出されたことや、自治体のマンパワー不足などの要因が考えられます。地域の特性が十分に考慮され、かつ表面的ではなく長く地域に浸透するような施策なのか、国や自治体による検証が求められます。あわせて、地域住民たちも、自分たちが暮らす地域の衰退を食い止めるために何ができるか考えることが大切です。

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埼玉大学 経済学部 経済学科 教授 宮﨑 雅人 先生

埼玉大学 経済学部 経済学科 教授 宮﨑 雅人 先生

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財政学、地方財政論

メッセージ

勉学に励んでほしいです。高校生活には楽しいことがたくさんありますが、学生の本分は勉強であることを忘れないようにしましょう。一時的な楽しさに身を任せたり、周りの雰囲気に流されたりするよりも、将来の自分の姿を思い描き、それに向かって努力する意思を保ち続けることが大切です。「勉強を頑張る」などと言うと、周りから浮いてしまうかもしれませんが、気にすることはありません。孤立を恐れることなく、自分が将来、より多くのチャンスをつかむためには何をすべきかを考えて行動していきましょう。

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