東南アジアでは、「日本製っぽい」商品が売れる!?
東南アジアをマーケットにするために
東南アジアは日本から近く、経済成長が著しく、親日の割合も高いため、グローバル化が進む今後の日本のパートナーとして重要視されています。そして現地の人たちのニーズを知り、商品開発や販売に結びつけようと、市場調査(マーケティングリサーチ)が進められています。しかし一口に東南アジアといっても、国・民族・宗教などによって価値観やニーズはさまざまです。例えばイスラム文化には、宗教的に許されている(これを「ハラル」といいます)ものと許されていないものがありますが、何が「ハラル」なのかは国や民族によって全く同じとは限りません。商品を販売するためには、現地で「ハラル」であるかどうかをよく把握する必要があります。イスラム文化以外にも、東南アジアには民族や宗教独自の禁忌や習慣がたくさんあります。
マーケティングの手法も多様化
各国の30近い主要都市で一般家庭を訪問し、アンケートやインタビューといった伝統的な手法で市場調査が行われました。近年ではビッグデータを分析して利用することが多いですが、こういった「スモールデータ」を分析して一般的な傾向を導き出すためのAI(人工知能)アルゴリズムも開発されており、さらに可視化することによって分析結果の解釈を容易にするデータサイエンス上の工夫がされています。
分析から販売戦略が生まれる
東南アジアでは日本に対しての信頼度が高く、日本製の商品はよく売れていますが、それに乗じて日本製以外の「日本製っぽい」商品パッケージや商品名のものが多数出回っています。日本製の商品名には漢字が使われているのが多いですが、漢字だけだと現地の人には日本製かどうかがわかりません。およそ100戸の家庭で訪問調査しましたが、「優の良品」のように漢字だけでなく「の」などのひらがなが入っている商品名は、日本製だと認識されることが多いことがわかりました。このように現地の人の文化や習慣、価値観やニーズを知ることは、多文化共生下のマーケティングを考える上でもとても重要です。
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先生情報 / 大学情報
東京経済大学 経営学部 教授 田島 博和 先生
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