あなただけに最適化されたSNSのコンテンツに潜む落とし穴
あなた好みの情報が流れてくるSNS
SNSの運営会社は、ユーザーの閲覧履歴やフォローしている人物、購入した商品の情報などを分析しています。なぜかというと、その人に最適と思われる広告やコンテンツを表示するためです。自動的にユーザーの趣味や嗜好に合った内容が流れてくるサービスはとても便利に思えるかもしれませんが、そこには大きな落とし穴があります。
広告ビジネスが生み出す弊害
確かに、自分好みの情報中心に提供してくれるサービスは心地よいでしょう。しかしスマホの小さな画面で偏った情報だけに接していると、自分とは異なる意見を受け入れられなくなり、排他的になって孤立する危険性があります。現在、世界的に市民間の分断が進んでいる状況もそれと無縁ではないと考えられています。
SNSがユーザーごとにカスタマイズされた広告を表示させるのは、その方が広告をタップしてくれるからです。ビジネスモデルが広告中心の企業にとっては、できるだけ長い時間ユーザーをサイト・アプリ内に滞在させて、いろいろな広告やコンテンツをタップしてもらうことが儲けの源泉です。ほかのネットメディアでもアクセス数を稼ぐため、記事には関心を引く扇動的なタイトルがつけられ、より刺激的なコンテンツが量産されています。
たまには「遠い情報」に触れてみる
そんな状況から脱するには、ネットでもあえて自分から「遠い情報」に触れることです。例えばYouTubeのホーム画面にはあなた好みの動画が表示されていますが、画面をずっとスクロールさせていくと最近は見なくなったジャンルの動画が表示されます。これが「遠い情報」です。普段接することのない、なんらかの気づきを得られる情報に意識して触れることで視野が狭くなることを防げます。また、個人にカスタマイズされていない情報という点ではマスメディアに触れることも効果的です。私たちは接する情報がフィルタリング(選別)されたものであることを十分に意識したうえで、SNSを利用することが大切です。
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東京経済大学 コミュニケーション学部 メディア社会学科 教授 佐々木 裕一 先生
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