あなただけに最適化されたSNSのコンテンツに潜む落とし穴

あなただけに最適化されたSNSのコンテンツに潜む落とし穴

あなた好みの情報が流れてくるSNS

SNSの運営会社は、ユーザーの閲覧履歴やフォローしている人物、購入した商品の情報などを分析しています。なぜかというと、その人に最適と思われる広告やコンテンツを表示するためです。自動的にユーザーの趣味や嗜好に合った内容が流れてくるサービスはとても便利に思えるかもしれませんが、そこには大きな落とし穴があります。

広告ビジネスが生み出す弊害

確かに、自分好みの情報中心に提供してくれるサービスは心地よいでしょう。しかしスマホの小さな画面で偏った情報だけに接していると、自分とは異なる意見を受け入れられなくなり、排他的になって孤立する危険性があります。現在、世界的に市民間の分断が進んでいる状況もそれと無縁ではないと考えられています。
SNSがユーザーごとにカスタマイズされた広告を表示させるのは、その方が広告をタップしてくれるからです。ビジネスモデルが広告中心の企業にとっては、できるだけ長い時間ユーザーをサイト・アプリ内に滞在させて、いろいろな広告やコンテンツをタップしてもらうことが儲けの源泉です。ほかのネットメディアでもアクセス数を稼ぐため、記事には関心を引く扇動的なタイトルがつけられ、より刺激的なコンテンツが量産されています。

たまには「遠い情報」に触れてみる

そんな状況から脱するには、ネットでもあえて自分から「遠い情報」に触れることです。例えばYouTubeのホーム画面にはあなた好みの動画が表示されていますが、画面をずっとスクロールさせていくと最近は見なくなったジャンルの動画が表示されます。これが「遠い情報」です。普段接することのない、なんらかの気づきを得られる情報に意識して触れることで視野が狭くなることを防げます。また、個人にカスタマイズされていない情報という点ではマスメディアに触れることも効果的です。私たちは接する情報がフィルタリング(選別)されたものであることを十分に意識したうえで、SNSを利用することが大切です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京経済大学 コミュニケーション学部 メディア社会学科 教授 佐々木 裕一 先生

東京経済大学 コミュニケーション学部 メディア社会学科 教授 佐々木 裕一 先生

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コミュニケーション学、社会情報学

先生が目指すSDGs

メッセージ

10代のうちに興味を持ったものにのめり込む経験をしてください。私は旅行好きで、中学生から紙の時刻表を駆使してルートを計画して、国内外のさまざまな地域を巡りました。おもしろそうなものに出会ったら直感を大事にそのことを突き詰めてほしいです。幅広く経験を積めれば変化の大きい時代にはやがてそれが生きてくるはずです。そしてなにかを突き詰めようと思う中で、たとえば上手な人をまねる目的で無類のデータベースであるインターネットを使って調べてみてください。暇つぶしだけで使うにはもったいないことが体感できます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京経済大学に関心を持ったあなたは

東京経済大学は、経済学部、経営学部、コミュニケーション学部、現代法学部、キャリアデザインプログラムの4学部1プログラムからなる社会科学系の総合大学です。建学の理念である「進一層」(困難に出合ってもひるまず一層前へ進む)、「責任と信用」を重んじ、実践的な知力を身につけグローバル社会で活躍する人材を育成します。目まぐるしく変化する現代社会でたくましく生き抜く力を養うために、深い教養という土台の上に高い専門性を築く学びを重視。少人数教育のゼミを中心に、現実社会の課題を主体的に考え抜きます。