「情報化」はコミュニケーションのあり方をどう変えるのだろう

「情報化」はコミュニケーションのあり方をどう変えるのだろう

ネットの「つながり」があれば友だちになれる?

あなたには「ネット上だけの友人」はいますか? 直接会うことがほとんどないのに、メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だけを通じて「つながっている」と感じる、メル友やチャット友のことです。
インターネットが普及する以前は、人と人とのコミュニケーションは、現実の人間関係をベースに築かれていました。ところが現代、ネットでの「つながり」がコミュニケーションの主体になりつつあり、現実の世界で毎日顔を合わせているのに、ネットでつながっていないと「親しくない」とさえ感じる人が増えています。

現実社会のルールは「アナログ時代」のまま

コミュニケーションの場がネットに移行しつつあるのにともない、人々の意識や価値観も変化しています。ただし、社会のルールは現実の世界を基準に作られていますから、ものごとの判断基準とネット上の流言飛語とを、混同しないよう注意しなければなりません。
例えば、2013年からネット選挙運動が解禁されましたが、選挙そのものは、有権者が現実の投票所に行き、自らの手で記入した一票を投じなければなりません。現実社会は、アナログ時代のままのルールで成り立っているのです。

便利さと表裏一体のリスクがある

無名のアーティストが、自分の歌や作品を動画サイトに投稿したところ、何万人ものネットユーザーに閲覧されて一気に有名人に、といった話題を、頻繁に耳にするようになりました。情報化社会の発展は、私たちのチャンスや可能性、情報量を大きく広げてくれます。
しかし一方で、守秘すべきプライバシーが流出したり、自分自身のアイデンティティが、会ったこともない人から勝手に「上書き」されたりするリスクも生まれました。誰もが自由に、しかも匿名で情報を発信・受信できるからです。
各個人が自分を守るために、SNSをはじめとするネットコンテンツには、メリットとデメリットが混在していることを知っておく必要があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 メディア・コミュニケーション専攻 准教授 梅津 顕一郎 先生

宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 メディア・コミュニケーション専攻 准教授 梅津 顕一郎 先生

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社会情報学、コミュニケーション論

メッセージ

高校生のうちから、焦って自分の将来についての「結論」を出す必要はないと思います。
かく言う私も、実は高校の半ば頃までは真剣に画家をめざしていて、勉強そっちのけで絵を描く練習ばかりしていました。それが、ちょっとしたきっかけで方向転換し、現在の研究テーマにたどりついたのです。画家をめざしていた頃は、「社会学」など想像すらしなかった学問領域です。あなたも、高校時代は挫折を恐れず、やりたいことにどんどんチャレンジしてください。「結論」は大学に持ち越して、じっくり考えればよいのです。

先生への質問

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本学は教養教育中心の小規模大学で、日本の国公立大学の中で数少ない本格的なリベラル・アーツ大学です。個別的な分野を狭く研究するのではなく、自由な精神で学問の本質を研究し、専攻分野に縛られず幅広く学ぶことで、専門性に裏付けられた総合力が発揮できる人間性豊かな人材育成を目標としています。「少人数教育」「活発な国際交流(海外留学)」「充実した就職支援」等が主な特徴で、小規模を活かしためんどうみの良さで、教職員が学生一人ひとりをしっかりとサポートします。