通訳・翻訳は、ただの「ことばの置き換え」ではない!

通訳・翻訳は、ただの「ことばの置き換え」ではない!

語学力があれば訳せる?

通訳・翻訳には「語学力」が欠かせません。しかし、必要なのは語学力だけでしょうか。例えば同時通訳では、ある言語を耳で聞きながら口では別の言語を発します。これを、日本語のニュースを聞きながら、同時に同じ情報を口から発してみると、同じ言語であっても難しいことがわかるでしょう。また、字幕翻訳では、鑑賞する人がストレスなく映画を楽しめるように1秒4文字という制限の中でことばを組み立てています。1つの単語に対する訳語は1つではありません。翻訳者は、文化などの社会背景を考慮しながら、どんなことばを使えば原文により近づけるのか考えます。このように、通訳・翻訳には語学力のほかにも特別なスキルがいくつも必要なのです。

私たちの生活に潜む通訳・翻訳

海外の報道を日本のテレビで見るという行為にも、「通訳・翻訳」が介在しています。現地の言語で取材された情報が日本語で発信されているのです。しかし、これを意識している人は少ないでしょう。自然な日本語で、聞き手に違和感なく伝えているからです。「訳している」ことを意識させずに情報を正しく伝えることは、聞き手や読み手への配慮といえます。
例えば大学の通訳・翻訳ゼミでは、SNSを使って海外のことを日本語で、日本のことを英語で発信するという取り組みを行っています。学生たちは「拾った情報をただ訳す」のではなく「収集した情報を別の言語でわかりやすく伝える」ことをめざすのです。

AIの位置づけ

こうした場面では、通訳・翻訳もまだまだAIに取って代わられることはないでしょう。とはいえ、通訳・翻訳の世界でも、AIは積極的に活用されています。通訳・翻訳を学ぶ際にも、自身の訳とAIの訳とプロの訳を比べながら、どの表現を選ぶか検討することで英作文能力やことば選びのセンスを磨けます。また、英訳を日本語に訳し直すことで、日本語における多彩な表現を学べます。AIの力で、プロは仕事を効率化し、素人はプロに近づくことができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

拓殖大学 外国語学部 英米語学科 教授 河原 清志 先生

拓殖大学 外国語学部 英米語学科 教授 河原 清志 先生

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通訳翻訳学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校で勉強するすべてのことは、どんな分野でも役に立つ土台となります。大学は、身につけた知識を使ってさらに高度な専門分野を極める場所です。英語を使うためには、英語の読み書き能力はもちろん、例えば日本文化を海外の人に伝えるなら、国語や日本史で学んだ日本に関する知識も欠かせません。やるべきことを素直にやるという姿勢はとても大切です。自分の気持ちに正直になると、人生はさらに豊かになります。他人ではなく、自分を真っすぐ見つめて、自分の進みたい道に素直に向かっていってください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

拓殖大学に関心を持ったあなたは

拓殖大学がテーマに掲げるのは「世界で、自分を拓く」。短期・長期でさまざまな国・地域に留学できる海外研修をはじめ、国内においても外国語を専門とする大学に匹敵する14の言語科目、多くの国・地域から集まった多数の留学生との交流など、国際社会の明日を担う人材の育成をめざして、拓殖大学ならではのグローバルな教育環境を用意しています。