触れる・つながる・安心する~砂場がもつ不思議な力~
砂と子どもの対話
幼稚園や保育園には砂場があります。砂は積み木のような決まった形をもたず、さらに水をかけることで固まったり、その重みで崩れたり、子どもにとって思いもよらない変化を示します。こうした性質を子どもが不思議に感じ、砂に働きかけ、またそれによって起こる砂の変化を読み取りながら、まるで砂と会話をするように遊びが展開されていきます。また、一人でも複数人でも遊ぶことができ、発達に従って明確な目標をもって遊ぶこともできるなど、砂場は非常に優れた遊び場であるといえます。
砂場での関わり方
砂は、なんとなく触っているだけで人を安心させる力をもっています。入園後間もなくの不安定な時期など、砂場で砂に触れたりその変化をみるだけで、ほっとすることができるのです。また、砂場における子ども同士の関わり方も特徴的です。例えば皆で穴掘りをする場合、垂直に掘るときは互いに向き合っていますが、穴を水平に延ばしていくような場合、互いの体は離れ、自分が掘っている場所に集中し、掘り進めたい方向にいる友だちを見るなど、視線や体の向きもバラバラになります。皆が同じ場で遊んでいても、それぞれの持ち場で遊びが展開される点は砂場ならではといえます。
保育学の研究対象
砂場の研究は、保育学における遊びや環境に関する様々な研究の1つです。子どもの遊びに関する研究は、遊んでいる様子を記録した動画などを用いながら子どもたちがどう遊び、関わり合っているのか、保育者がどのように子どもに援助しているのかなどを検討します。子どもの年齢や環境(どこで遊ぶか・何を使うか)、普段の子ども同士の関係性などによって、子どもの遊びの内容や子ども同士の関わり方などは変わります。遊びの要因や構造など研究が明らかにしたことは、教育・保育現場でよりよい援助のために生かされます。
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武蔵野大学 教育学部 幼児教育学科 准教授 箕輪 潤子 先生
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