講義No.10851 児童学 教育

触れる・つながる・安心する~砂場がもつ不思議な力~

触れる・つながる・安心する~砂場がもつ不思議な力~

砂と子どもの対話

幼稚園や保育園には砂場があります。砂は積み木のような決まった形をもたず、さらに水をかけることで固まったり、その重みで崩れたり、子どもにとって思いもよらない変化を示します。こうした性質を子どもが不思議に感じ、砂に働きかけ、またそれによって起こる砂の変化を読み取りながら、まるで砂と会話をするように遊びが展開されていきます。また、一人でも複数人でも遊ぶことができ、発達に従って明確な目標をもって遊ぶこともできるなど、砂場は非常に優れた遊び場であるといえます。

砂場での関わり方

砂は、なんとなく触っているだけで人を安心させる力をもっています。入園後間もなくの不安定な時期など、砂場で砂に触れたりその変化をみるだけで、ほっとすることができるのです。また、砂場における子ども同士の関わり方も特徴的です。例えば皆で穴掘りをする場合、垂直に掘るときは互いに向き合っていますが、穴を水平に延ばしていくような場合、互いの体は離れ、自分が掘っている場所に集中し、掘り進めたい方向にいる友だちを見るなど、視線や体の向きもバラバラになります。皆が同じ場で遊んでいても、それぞれの持ち場で遊びが展開される点は砂場ならではといえます。

保育学の研究対象

砂場の研究は、保育学における遊びや環境に関する様々な研究の1つです。子どもの遊びに関する研究は、遊んでいる様子を記録した動画などを用いながら子どもたちがどう遊び、関わり合っているのか、保育者がどのように子どもに援助しているのかなどを検討します。子どもの年齢や環境(どこで遊ぶか・何を使うか)、普段の子ども同士の関係性などによって、子どもの遊びの内容や子ども同士の関わり方などは変わります。遊びの要因や構造など研究が明らかにしたことは、教育・保育現場でよりよい援助のために生かされます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 教育学部 幼児教育学科 准教授 箕輪 潤子 先生

武蔵野大学 教育学部 幼児教育学科 准教授 箕輪 潤子 先生

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保育学、教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学への進学を前に、自分の将来について悩む人も多いと思います。私も学生時代に自分が何をしたいのか見いだせなかった時期がありました。でも、自分なりに「面白そうだ」と感じたことを調べたり、実際にその場に行ってみたりする中で、現在の自分の研究や仕事につながる人や出来事に出会うことができました。
あなたも、どのようなことでも構わないので、少しでも「面白そうだ」と思えることがあれば、調べたり実際に出かけたりしてみてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。