筒をウキウキさせない水逃し
マンホールが浮く!?
マンホールとは、円形の鉄板のふたではありません。ここで言っているマンホールとは、コンクリートでできた中が空洞の、長さ2、3メートルほどの筒のことです。地震のあと、浮き上がったかのように地面から飛び出たマンホールを、新聞やテレビのニュースなどで見たことがありませんか。このようにマンホールが浮上するのは、液状化現象によるものです。
液状化現象とは、砂と水が混ざった液体、「砂水」が地下で生じる現象のことです。液状化現象は、3つの条件が揃った時に発生します。第1に、「ゆるさ」が必要です。川や海の近くなど、地盤がゆるいことが条件です。第2に、「水」が必要です。地盤に水分が含まれている必要があります。第3に、「揺れ」が必要です。水分を含んだゆるい地盤が地震によって揺れると、液状化現象が生じるのです。
マンホールは、地下に存在する土のまさつ力のおかげで、土の中にとどまることができています。しかし地震が起こると、地盤がゆるく水分を含んだ地下の土は砂水に変化します。すると、今までマンホールを抑えていた土のまさつ力が消失します。すると、中が空洞のマンホールは浮上してしまうのです。
水が逃げ遅れる
では地震が発生すると、なぜ地下の土が砂水になるのでしょうか。その答えは水の「逃げ遅れ」です。通常、地下の土が水分を含んでいても、その水分は押し固められた土の間にはさまれるように存在しています。ですが揺れが生じると含まれている水分は土の間から抜け出そうとします。しかし、地震の揺れは通常1分程度なので、短い時間では水分は土から脱出することができません。そのため、砂と水がまざった液体が地下に現れるのです。
ですから、揺れが生じた時、すぐに水分が抜け出るような砂利などでできた水はけのよい土地であれば、液状化現象は発生しません。水の逃げ遅れをなくせば、マンホールは浮かなくなるのです。
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先生情報 / 大学情報
北見工業大学 工学部 地球環境工学科 教授 山下 聡 先生
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