眠りが苦手な子どもにどう向き合うか 睡眠と教育を考える

眠りが苦手な子どもにどう向き合うか 睡眠と教育を考える

睡眠と心

人間にとって睡眠は非常に重要な行為です。特に成長段階にある子どもにとっては、心身の成長や生活リズムの安定においても睡眠が重要な意味をもちます。眠りに落ちる過程は、単に目を閉じて体が動かなくなっているだけに見えますが、「心」ではダイナミックかつ複雑な変化が起こっています。こうした変化の様子は、脳波計や活動量計、あるいは睡眠日誌というツールを使った研究によってある程度客観的に把握できますが、まだ解明されていない部分も多く残されています。

うまく眠れない子どもたち

近年の研究では、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の特性と睡眠の間には、お互いに影響を及ぼし合う関係が想定されています。発達障害のある子どもたちは、学校生活がうまくいかないことで否定的な評価を受けてしまい、それがストレスにつながるケースが多くあります。ストレス過多の状態は私たちの眠りの質の悪化を招きますが、障害やストレスによる睡眠困難であっても、朝寝坊や授業中の居眠りは、周囲からの「怠惰」「生活リズムが守れない」といった評価につながりやすくなります。それが「自分は駄目だ」という思い込みや更なるストレスの原因になるのです。こうした悪循環を断ち切るためには、彼・彼女たちの困りごとや苦手とすることを共に理解し、少しでも日中の活動の質を高めることが重要なのです。

教育と睡眠

「睡眠」と「教育」に接点があることはあまり知られていませんが、複雑な眠りのメカニズムを解き明かすことは、学校をはじめとする社会的な生活において困難を抱える子どもたちに対する理解や支援を充実することにもつながります。また、睡眠や発達障害、あるいはそれらと密接につながっている子どもの「心」は、いずれも目に見えるものではありません。私たちは目に見えないものを怖がったり、避けたりしてしまいがちです。まずはそれらに向き合い、目に見えないところからも解決の方法を探すという姿勢は、研究・実践を問わずこれから教育に携わるすべての人に欠かせない要素といえるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 平野 晋吾 先生

福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 平野 晋吾 先生

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生理心理学

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メッセージ

本学の教育学部では「子どもからはじまる保育・教育」を掲げています。子どもへの理解を深めて、子どもを起点として出発するためにはどうすればよいのか、教員だけでなく学生・卒業生や地域の方も巻き込んで、共に考えています。教育学部には保育学や教育学や教科教育をはじめ、心理学や障害・福祉など、多岐にわたる専門分野をもつ教員が多数在籍しています。多様な視点から、「子ども」や「発達」について学び、体験する機会が数多くありますので、あなたが将来保育や教育に携わりたいと思っているなら、ぜひ本学で共に学びましょう。

福山市立大学に関心を持ったあなたは

福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。