鳥取砂丘の地形はどのようにして生まれたの?

鳥取砂丘の地形はどのようにして生まれたの?

砂浜と砂丘の大きさの関係

風によって刻々と姿を変える風紋(風によってできる模様)で、美しい景観を楽しむことができる“鳥取砂丘”。近年、砂浜と砂丘の大きさには密接な関係があることがわかってきました。海岸の砂浜が広いところは風で飛ぶ砂の量も増えるので、内陸側にも広い砂丘があると思われてきましたが、実は、内陸側に広い砂丘が発達しているところは海岸の砂浜は狭いのです。砂丘が発達するときにだんだんと砂浜を侵食するため、結果的に砂浜が狭くなります。鳥取砂丘は南北2.4km、東西16kmという日本最大規模の砂丘ですが、海岸にある砂浜は狭いのです。

長い年月をかけて地形がつくられた

広大な鳥取砂丘は、どのようにして誕生したのでしょうか? 今はまだ、鳥取砂丘の成り立ちが正確にわかっているわけではありませんが、その成立は14~15万年前にさかのぼると考えられます。まず、中国山地から日本海に注ぐ千代川(せんだいがわ)が砂を運んできました。また10万年周期で変わると言われる、海面の上下によって海岸線の位置は大きく変化しました。長い年月をかけて海岸線に堆積した砂が、乾いて風によって運ばれ、砂丘ができてきたとされています。鳥取砂丘は、気の遠くなるような時間をかけて自然がつくり出した地形なのです。

地質調査で歴史をひもとく

鳥取砂丘がいつどのようにしてできたのかを明らかにするため、「ボーリング調査」が行われています。ボーリング調査とは、専用の掘削機で孔(あな)を堀って土を集め、地質の状態を確認する手法です。この手法を使って、鳥取砂丘の地層を調査し、砂丘が生まれた歴史をひもとく研究が行われています。岩石にぶつかるまで、ときには80メートルほども掘り進めて調査が続けられた結果、砂丘ができる以前の土地の様子がだんだんとわかってきました。鳥取砂丘がある場所の海面下40~50mのところに、その昔、千代川が流れていた可能性がわかってきたのです。この研究が進めば、鳥取砂丘がなかった時代の景色がわかるかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

鳥取大学 農学部 生命環境農学科 里地里山環境管理学コース 教授 小玉 芳敬 先生

鳥取大学 農学部 生命環境農学科 里地里山環境管理学コース 教授 小玉 芳敬 先生

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地形学、流域地形学

メッセージ

私は鳥取砂丘の成り立ちや、風紋の変化の過程などを研究しています。地形学はフィールドワークが不可欠な学問です。実際に外に出て調査をしてみても、はじめのうちは見えている現象に気づけないかもしれません。しかしだんだんと気づくようになっていきます。諦めずに続けることが肝心です。
大学は新たな出会いがたくさんある場所です。高校時代までの経験と知識で、自分の道を決めてしまわなくてもよいのです。友だちや教員、学問など、大学での素晴らしい出会いがあなたを成長させることでしょう。期待して進学してほしいと思います。

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鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。