キャッシュレスやビッグデータがけん引する中国経済の成長
中国の経済成長
中国は1978年に改革開放政策を始め、以降30年間にわたって毎年約10%の経済成長を遂げてきました。現在ではGDP(国民総生産)が世界全体の約18%(世界2位・2021年)、貿易総額は約20%(世界1位・2020年)を占めています。中国ではかつて「計画経済」といって、生産活動やそこで得られる利益の分配を国が主導していましたが、改革開放政策によってより生産性を高め、もうけた人ほど利益が得られるようになりました。また国有ではない民間企業の事業活動も認められ、さらに海外企業の進出を認めたことで、自国の技術力が向上し、一気に経済成長を遂げたのです。
キャッシュレスとプラットフォーマー
2010年以降の経済成長をけん引したのが「キャッシュレス化」と「プラットフォーマー」です。それまで中国では偽札が出回るなど現金に対する信用が低かったのです。そこで大手企業が二次元コードによる決済システムを作ると、当時のスマートフォンの普及にも後押しされて、キャッシュレス決済が国中に普及しました。そして膨大なキャッシュレス決済のデータが、インターネット上でサービスやシステムを提供・運営する「プラットフォーマー」に集約され、ビッグデータとしてマーケティングに活用されたことで、インターネットを通じた販売や金融・保険が一気に発達しました。
正しい向き合い方
中国政府は、他国に比べると強い権限を持っていますが、こうした民間で起こる新しいサービスについてはむやみに規制することはありませんでした。また民間企業もそれを見越してさらなる創意工夫を重ね、より良いモノやサービスを作り、イノベーションを加速させるという好循環が生まれました。
日本では成長を続ける中国経済を必要以上に脅威と捉え、また、いずれ衰退すると楽観視する論調も目立ちます。しかし、GDPや貿易額、金融の流れといったデータを踏まえながら、正しく分析していくことで、中国経済の今後や日本・世界に対する影響、中国との正しい向き合い方が見えてくるのです。
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