ビッグデータから、効率的な商品陳列を考える!
統計学で将来の値を予測する
経済経営学において統計学は、データを解析して将来の値を予測するためなどに使われます。
経済・経営に関係するデータとして、企業の株価を考えてみましょう。そのようなデータは、時とともに変動するために「時系列データ」と呼ばれます。例えばランダムに選び出した100人分の身長データのような、時系列ではないデータの場合、1人目が高ければ2人目も高くなりやすい、などの関連性はないと考えられます。しかし時系列データの場合、今日の株価が高ければ明日も高くなりやすい、などというように、未来の値は現在や過去の値の影響を受けていると考えるのが自然です。そのため、時系列データではデータ同士の相関を考える必要があり、複雑なモデル(数式)を使ってデータの動きを表現することが必要です。モデルの一つを提案したロバート・エングルはノーベル経済学賞を受賞しています。
ビッグデータから傾向や法則を見つけ出す
ビッグデータから潜在的な傾向や法則などの有用な情報を取り出す技術のことを「データマイニング」といいます。例えば、コンビニでは顧客が購買するごとに、いつ・どこの店舗で・どんな商品が・何個売れたという大量のデータが蓄積されていきます。データマイニングの「アソシエーション分析」では、それらのデータから「商品Aを買う人は商品Bを一緒に買う傾向にある」などの相関ルールを見つけ出すことができます。これは商品Aを買った人の中で商品Bを買った人の割合を計算するという、極めて単純な理念を使用します。
膨大なデータを扱うための工夫
理論は単純ですが、データ量は膨大で、商品の組み合わせも無限に近く、すべての組み合わせで割合を計算するのはコンピュータの力を持ってしても不可能です。そのため、効率的なアルゴリズムを使用して、有益な相関ルールを見つけ出します。こうして、商品Aと商品Bが一緒に買われやすいという傾向がわかれば、それらを並べて陳列したり、在庫を調整したりして、商品管理や売り上げ向上に生かすことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 小方 浩明 先生
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