地球環境の向上、毎日の生活スタイルから変えていこう!

地球環境の向上、毎日の生活スタイルから変えていこう!

非日常から日常の風景へ

被災地の避難所やオリンピック宿舎でリサイクル可能な段ボールベッドが利用されているのを見たことがあるでしょう。期間限定の臨時の家具という印象を持つかもしれませんが、日常的に使えるおしゃれな段ボール製家具の商品化を試みる企業が増えています。また、CO₂排出ゼロの電気自動車はまだ高価ですが、世界中のメーカーは低価格車の開発を展開中で、今後、電気自動車が身近に普及する可能性があります。
環境に配慮した商品は、当初、割高になる傾向があります。しかし、その商品を社会が「良いもの」と認めて受け入れれば、購入量が増えて量産化も一層進み、結果として商品単価が下がり、さらに求めやすくなって普及するというサイクルが生まれます。

どちらもプラスに

地球温暖化が深刻になっている今、「地球環境の持続」を意識した経済システムの研究が求められています。環境問題への対応は時間とお金がかかるため、余裕がある国や大企業が取り組むものという見方がなされがちです。しかし、経済的利益を得ることと環境を守ることの両立は可能です。どちらもプラスになるサイクルを作るには、「節約できた」「便利になった」というような、人々の実感が必要です。研究は個人や地域の生活実感を把握し、高めることから始まります。

身近な一歩から

地域の新たなルール作りも課題となります。人口約15万人の長野県上田市の例では、2021年のエネルギー支出費は約700億円と推計されます。電力等を市外からの供給に頼らずに市内での再生エネルギー発電に置き換えていけば、新たな政策財源を生み出して、環境に負荷をかけずに社会経済活動を活発にできるはずです。そのために何がネックになっているのか、生活実感の向上を含めた調査が始まっています。
毎日の生活や行動パターンをほんの少し変えることが地域のプラスになり、実は地球環境を変える最初の一歩になり得る、という視点が根底にあります。それが、人々の意識と行動の変化も含めた実践的な解決法の提案につながるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

長野大学 企業情報学部 企業情報学科 教授 市川 文彦 先生

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社会経済学、グリーン・ネットワーク論

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メッセージ

多面的に考える習慣を身につけましょう。社会現象は複雑なメカニズムで起きていて、理解しやすいことばかりではありません。ある人が喜んでいる出来事でも、別の人にとってはそうでない場合があります。どの立場からどう考えるかで、判断や行動、そして解決法が変わることがあります。自分には関係ないと思える大きな社会問題も、日頃の身近な現象からとらえ直してみると、世の中のいろいろなことが繋がってみえてきます。高校生のうちに「もしも」と考える習慣を身につけることは、あなたの将来にとって大きなプラスになるでしょう。

長野大学に関心を持ったあなたは

長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。