グローバル化が進み、「会計」や「簿記」も国際的になる?
グローバル化で必要性が増した国際会計基準
「会計」と聞いて、「簿記」の地味な作業をイメージするかもしれません。しかし、実社会において会計の知識は、重要なビジネスツールのひとつとして、いろいろな場面でフル活用されています。特に近年、日本の企業活動のグローバル化が急速に進んでいるため、従来の日本の会計基準だけではなく「国際会計基準(IFRS)」の導入が世界レベルで進んでいます。
「国際会計基準」を導入するメリットとは
企業会計は、投資家や株主、主要取引先などに公開し、投資額や取引額を決める判断基準にしてもらう「財務会計」と自社の経営状態を正確に把握し、企業戦略に活用する「管理会計」に大別されます。つまり会計には、「攻め」と「守り」の両方があるわけです。
海外の資本市場に上場し世界中の投資家から資金を調達しているような企業なら、100以上の国・地域で導入されているIFRSを導入した方がよいでしょう。しかし、国内でしか活動しない企業や、海外資本比率を一定以下に抑えなければならない企業の場合、導入のメリットは多くありません。そのため、IFRSの必要性が議論されているものの、日本では2024年5月末時点で、まだ280社ほどしか導入されていません。
日本の会計基準と国際会計基準は大違い
日本の会計基準とIFRSとの違いの一例として、ある企業がほかの企業を買収したり、合併して新会社を作ったりするケースが挙げられます。A社がB社を買収する場合、A社はB社の資産価値以外に、ブランド力や技術力などB社がもつ無形の超過収益力に対しても代金を支払わなければなりません。いわゆる「のれん」です。日本の場合、のれんは数年間に分けて費用として計上しますが、IFRSにはそのようなルールがありません。
グローバル化や企業再編のますます大きくなる波の中で、このような会計に関する知識を理解していることは、ビジネスパーソンにとって必要となっています。
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先生情報 / 大学情報
専修大学 商学部 会計学科 教授 国田 清志 先生
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