失敗しない経営のための会計学とは

「2杯目半額」で店はもうかる?
喫茶店でコーヒーを飲み、「2杯目は半額サービス」というので、お得に感じて2杯目も注文したとします。この場合、店は損をしているのでしょうか。
コーヒー1杯が500円で原価が300円だとすると、原価には材料代だけでなく、テナント料や人件費、電気代といった、仮にコーヒーを提供しなくてもかかるコストが含まれています。これを「固定費」といいます。しかし、1杯目で固定費は回収済みなので、2杯目のコーヒーの原価は豆代等の材料費だけです。これを「変動費」といいます。2杯目の原価は300円どころかぐっと安くなるため、喫茶店は利益がしっかりと出る仕組みです。このように、固定費と変動費に区分して原価計算をする考え方が、「管理会計」の身近な例です。
原価計算が経営の原点
管理会計は一般の財務諸表とは違い、過去実績の要約ではなく、将来に向けて経営側が意思決定に用いるための重要な役割を持つ会計です。商品の採算性等については、管理会計という概念を知らない経営者もある程度は把握しているでしょう。しかし、企業の経営者や様々な部署の管理者が経営判断に迫られた際に体系的な根拠を提示するのが「正しい原価計算」に基づく管理会計情報なのです。
また、従業員の業績管理にも、管理会計の手法が役立ちます。人事評価に際し、経営者が全員の仕事内容を細かく見ることはできないですが、適切な業績評価指標(管理会計情報)とインセンティブを設定することで仕事ぶりを評価することができ、さらに意欲をも引き出します。
企業がチャレンジするときも
特に新しいプロジェクトの計画段階では、経営上役立つ会計情報が必要になります。計画どおりに準備が進んだか、進まなければ、どこがいけなかったか考えなければなりません。計画ではもうかると思っていたのに、どこかに想定外のコストがかかっていて採算が合わなくなることも起こり得ます。こうした進め方のサイクルに、原価情報から始まる、「根拠のある数字」を提供する管理会計が必要となるのです。
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